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財務会計のイロハから財務諸表の読み方までわかる! ~IW2019注目セッション紹介【第1回】~

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今年のInternet Weekのプログラムを紹介します。担当は本イベントの実行委員を務めている法林浩之(日本UNIXユーザ会)です。

今回ご紹介するのは、11月26日(火)に行われる2.5時間プログラム「エンジニアのための財務会計基礎」です。このプログラムを担当している中川あきらさん(日本インターネットエクスチェンジ株式会社)にお話をうかがいました。


法林: Internet Week(IW)は、基本的にはエンジニア向けのセッションが中心なんですが、ときどき今回の財務会計のような、ともするとエンジニアが避けて通りたがるような題材のセッションを突っ込んでくる印象があります。この手のセッションっていつ頃からやり始めたんでしたっけ?

中川: IWで初めて財務会計のセッションをやったのは7年前になります(*1)。当時のプログラム委員会では「なぜIWで財務会計?」という声と「おもしろそうじゃん」という声があって賛否両論だったんですが、まあやってみたらいいんじゃない?ってことでプログラムを実施しました。

 (*1) Internet Week 2012 「T2 エンジニアも知らなきゃならない財務会計

法林: 割と評判がよかったような記憶があるんですが、やってみてどうでした?

中川: はい。予想以上に好評だったので、その後も隔年ぐらいでやってました。ただ、大企業から中小企業までの規模でそれぞれに会計に対する捉え方がある中で、間違いなくきちんと皆に持って帰ってもらえる話にするとなると、大中小それぞれの事情について精通している税理士資格を持った公認会計士の方ということになり、ボランティアで解説をお願いし続けるのには講師としての負担が大きすぎたんですよね。それに対する解を長らく探していたんですが、ターゲットを明確にすることで実現できそうなソリューションが見つかって今回6年ぶりに実現することになりました。

法林: ってことは講師がうまく見つかったと?

中川: はい。一緒にセッションを担当しているプログラム委員でハートビーツの藤崎正範さんが交渉にあたってくれて、とても助かりました。

法林: さすが藤崎社長!会計にも強い! ところで今回はどんなプログラムを組んだんですか?

中川: 今回は、このセッションの基礎的な内容である「財務会計のイロハ」に加えて、「具体例を交えた財務諸表の動き」を体験していただくのが大きな特徴ですね。「財務会計のイロハ」は、企業会計の制度目的や、貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)などについて学びます。

法林: 確かに基礎的な内容ですね。企業のマネージャー向け研修とかにもありそうな。「具体例を交えた財務諸表の動き」の方が気になるんですが、こちらはどんな例が出てくるんですか?

中川: こちらはですね、例えば設備投資を行ったら資産計上や減価償却という概念が出てきますが、具体的にPLにおいて何が計上され、5種類の利益のどれに影響が出るのかとか、BSのどこに何が計上されるのか、といった話をします。同様に、専用線を月額で調達したら、月額サービスを売ったら、物を売ったら、などなど、IT企業で起こりそうな体験を例に、財務諸表の動きを説明します。

法林: IWのウェブサイトのプログラム紹介ページを見ると、基礎的なことから始まり、今どきらしい内容だとクラウドを利用した場合とかありますね。クラウドも料金形態はいろいろあって、例えば一部を前払いすることで値引きが適応されるケースとかもあるし、そういう場合は会計上どう計上されるんだろう?そのような普段はあまり考えずに経理に処理してもらっていることが理解できるってのはいいですね!

さて、このセッションを受講することで、参加者にはどんなメリットが期待できますか?

中川: まず、技術以外の、会社の経営の一つの側面が見えるようになります。たとえば資材管理のような、経理部門から「これ出して」と言われてExcelの表を渡されて、意味もよくわからず設備の数を数えて数字を埋めて締切までに返す、みたいな単純業務をしている人は多いと思うんですが、その作業の背景がわかるようになります。

法林: 職種としてはエンジニアもマネージャーも参加歓迎って感じですか?

中川: はい。普段、サーバーやルーターを触っているエンジニアは、このような財務の知識を持って仕事を行うと社内で評価され仕事の幅が広がることにつながると思いますし、マネージャーだったら予算の話もするでしょうから、もっと直接的に仕事に役立つ知識を増やすことができます。ぜひいろんな方に聴いていただきたいですね。

法林: ありがとうございました。IWでは異色ですが、伝統にもなりつつあるセッションです。ぜひご参加ください。

2012年に開催した「エンジニアも知らなきゃならない財務会計」。会場は満席でした。

 

 

S5 エンジニアのための財務会計基礎

https://www.nic.ad.jp/iw2019/program/s05/

日時 2019年11月26日(火) 16:15 ~ 18:45
場所 3F Room0
参加料金 <事前5,600円/当日8,500円>
概要

エンジニアにとって会計とは関係ない世界でしょうか。 技術の専門家は技術だけ解っていれば良いわけではありません。 日々の業務において経営に与える会計のインパクトを理解し説明できると、 今まで以上に仕事がスムーズに進むことも出てくるでしょう。

市場経済と企業会計の制度目的を確認した後、 会計実務のイロハを具体例を交えて講師と共に実体験していただき、 最終的にはエンジニアとして知っておくべき会計と企業価値との関係について学んでいただきます。

内容

講演者:前川 和也(株式会社ハートビーツ)、高井 寿(高井寿税理士事務所)

  • 企業会計の目的制度と利害調整機能
  • 財務諸表の種類と目的
  • 貸借対照表とその具体例
    • 資産、負債、資本の忘れにくい理解の仕方
    • 銀行から借入を行ったときの仕訳
    • 備品購入時の仕訳
    • ドメイン名再版時の仕訳
    • パソコン購入時の仕訳
  • 貸借対照表と会社の発展段階
  •  損益計算書とその具体例
    • 収益、費用、利益の忘れにくい理解の仕方
    • 5種類の利益(売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益)
    • クラウド利用料を現金で支払ったときの仕訳
    • 顧客にサービス提供済みの請求書発行したときの仕訳
    • 上記請求の入金があったときの仕訳
    • 先月分の電気代の請求書が届いたときの仕訳
    • 上記支払いした際の仕訳
  • 研究開発費と企業の成長
  • 企業価値と企業会計
対象者
  • エンジニア
  • エンジニアマネジャー

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