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APNIC武者修行その2

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オーストラリア・ブリスベンにてAPNICのトレーニングを受けています、中川です。

初めてのオーストラリアで、Aussie Englishにも初めて触れました。Aを「エー」ではなく「アorアイ」と発音するようで、dataを「ダータ」と言われたときは一瞬「?」が浮かびました。さらにAPNICスタッフはルーツも様々で英語の発音も異なるので、そんなところでも多国籍組織の雰囲気を体感しています。

前回の記事ではAPNICのオフィスの様子や、end of the year party=忘年会での文化の違いを体験したお話をさせていただきましたが、いよいよトレーニングが始まりましたので内容の一部を皆様にもご紹介したいと思います。

月次の全体ミーティングの様子。モーニングが用意されたり、誕生月の人をお祝いしたりもします。

APNICの組織(チーム)体系

APNICは大きく分けて7つのチームで構成されています。

  1. Service:IPアドレスの分配・移転、WHOIS等の提供サービスに関するサポート
  2. Business:メンバーの料金収受管理や総務関係等
  3. Development:トレーニングの企画・実施。カンファレンスのネットワーク構築等
  4. Product:対外向けシステムの構築・保守運用・アップデート
  5. Communications:ブログなどの広報活動全般
  6. External Relations:ICANN・IGF等の外部組織との連携やイベント全般
  7. Human Resources:人事関係業務

先週は主にServiceチームの業務についてお話を伺いました。

新規にIPアドレスの分配を希望する組織との契約

APNICからIPアドレスの分配を受けている組織は、APNICメンバーと呼ばれます。JPNICでいう、IPアドレス管理指定事業者が相当します。

APNICとJPNICは別組織ではありますが、JPNICはAPNICが管理するアジア太平洋地域内のNIRであることから、IPアドレスの分配基準はAPNICとJPNICで揃える必要があります。APNICでは、新規にメンバー契約を希望する組織に対し、どのように審査を行っているのかや、契約における事務手続きの違いがあるかなどを確認し、JPNICの手続き・分配基準と比較しました。

日本では今も重要な契約事項において、証明書などは原本を必要とすることが多いと思います。実際に、JPNICの契約手続きでも、登記簿謄本や印鑑証明書の原本を提出いただく形になっています。

一方で、APNICでは管轄する国の多さもあってか、身分証明などの提出に関して、すべてweb上で完結(PDFなどでアップロード)となっていることを知りました。この点が大きな違いと感じました。書類の原本を用意するやり方よりも、簡単でスピーディにできるのは利点があるように思います。しかし、すべての申請が正しい情報で行われているとは限りません。一部の申請では身分を偽装し、Shelf Company(=実態のない会社)を立ち上げてアドレスを申請し、ポリシーに反する行為であるIPアドレスのリースや、移転制度を利用した転売・不正取得を行うことで利益を得ようとする輩が実在しているそうです。不正利用を防ぐという観点では、改竄しにくい書類の原本を提出する方式が効果的であると感じました。

その分、APNICは、提出された書類の確認を厳重に行っています。ミーティングの中では、不正な申告の事例が共有されました。例として、銀行の預金証明で正規の書類とフォント・文字サイズが異なっているといったことや、アメリカのパスポートでメガネを掛けている(アメリカではパスポートの写真でメガネをかけることは原則禁止となっている)といったものが挙げられました。

未使用IPv4アドレスの回収プロジェクト

APNICでは現在、使用されていないIPv4アドレスの返却・移転を促すプロジェクトが進行しています。APNICの番号資源管理を行うポータル「MyAPNIC」を継続的に利用しているメンバーは、全体のおよそ3割程度と言われています。残りのメンバーは、アドレスの取得以降一切触れていません。特にAPNICやJPNICの設立以前に分配された歴史的経緯をもつプロバイダ非依存アドレスには、現在経路広告されておらず、かつ連絡先が不明になっているものが数多く見られます。このようなアドレスを有効活用するべく、APNICは移転制度の周知に力を入れています。日本にもAPNICからアドレスの分配を受けたものの、連絡が取れない歴史的アドレスホルダーが多くいると聞いているので、JPNICとして、できる限りサポートしていきたいと考えています。

この他にも、移転制度の仕組みについて確認したり、APNICポリシーの実装までの業務に関して解説していただき、ディスカッションを行いました。これまではJPNIC側の視点からしか業務を見たことはありませんでしたが、APNIC側ではどのように動いているのかをより鮮明に理解することができました。

次回はServiceチーム以外の部署のお話についてもお伝えしたいと思います。


—-余談—-

快晴の日のブリスベン市内。結構都会です。

現在オーストラリアは夏真っ盛りです。気温は25~35℃。湿度は40%ほどなので、日本のように蒸し暑い感じはありません(もちろん暑いのは変わりありませんが……)。

APRICOT 2020/APNIC 49カンファレンスが開催される2020年2月のメルボルンでも、同じくらい暑くなることが予想されます。日本を出るときはコートやダウンが必要になるとは思いますが、到着後のために涼しい服装も忘れずにご用意ください。雨の日は比較的少ない印象ですが、スコールのような突然の雨に何回か遭遇したので折りたたみ傘は常備しておくと便利かもしれません。

出張の準備は早めに済ませて、忘れ物が無いように気をつけましょう。