IPv6 Summit 2020 in TSU & IPv6 ハンズオンセミナー 開催レポート
event_team IPアドレス JPNICのイベント インターネットの技術2020年2月6日(木)~7日(金)に、三重県津市で「IPv6 Summit in TSU 2020 & IPv6ハンズオンセミナー」を開催しました。
本イベントは、IAjanan主催の「IPv6 Summit」と、JPNIC主催のIPv6対応を目的としたエンジニア向けのハンズオンセミナーのコラボイベントです。一昨年から大阪、静岡で開催し、三回目となる今回はZTV株式会社様にご協力いただき三重県津市で開催しました。CATVを中心とする通信事業者やISPなど、地元エンジニアの方に多くご参加いただけました。
IPv6 Summit in TSU 2020
1日目の午前に、NTTコミュニケーションズ株式会社 西塚要氏からIPv6アドレスの基本的な機能やIPv6導入に移行技術を解説いただき、午後からIPv6 Summitが始まりました。
ZTV株式会社の代表取締役社長の田村欣也氏から、開会のご挨拶をいただきました(左)。Summitの基調講演ではNGN IPoE協議会会長の石田慶樹氏から、IPv6の普及の最新動向とIPv4 over IPv6についてご紹介いただきました(右)。
基調講演の後は、クラウド、CATV、アプリケーションの3つの分野からIPv6の最新動向が共有され、最後に参加者も交えたオープンディスカッションが行われました。
まず、アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社の菊地之裕氏にご登壇いただき、AWSにおけるIPv6対応状況についてご紹介いただきました。既にAWSでは顧客志向の一環としてIPv6サービスに対応しており、簡単にIPv4・IPv6デュアルスタック対応を構築できることが伝えられました。
次に、CATV事業者におけるIPv6対応の状況を一般社団法人日本ケーブルラボ 山下博之氏から共有いただきました。CATVは他のISP事業者に比べるとIPv6の普及が遅れている一方で、FTTH化に合わせて徐々にIPv6の導入が進んでいるそうです。山下氏からはケーブルテレビ事業者のIPv6対応のポイントとして、推奨されるアドレス配布方式「DHCPv6-PD」を導入する際の課題や注意点が紹介されました。
アプリケーション側のIPv6対応をJPNICの佐藤秀樹が解説しました。特に、AndroidアプリにおけるIPv6対応状況を調査した研究では、全体の約90%が未対応であることが分かったことを紹介しました。一見動作するように見えても、実はある画像が表示されなかったり、いいねが押せなかったりするアプリがほとんどだったそうです。原因としては、例えば天気アプリ等はIPv6のGeoIPが正常に動作しなかったなど、IPv4にのみ対応するツールやコードが原因となる可能性が考えられるそうで、アプリのIPv6対応における注意点が共有されました。
最後に参加者も交えて、IPv6への理解を深めるオープンディスカッションが行われました。IPv6のセキュリティで気をつけるポイントや、アドレッシングに関する質問など、IPv6を導入にする際の具体的な知見についての質問が多く寄せられました。また、地元CATVの参加者が多かったこともあり、日本ケーブルテレビラボの山下氏へのDHCPv6-PDに関する質問も多く、ディスカッションは大変盛り上がりました。
IPv6 ハンズオンセミナー
2日目は、参加者の皆さんにルータとサーバのIPv6対応を体験していただきました。
午前はネットワーク構築を体験していただきました。講師は、1日目にIPv6入門の座学で登壇したNTTコミュニケーションズ株式会社 西塚氏です。参加者は手元のNW構成図を見ながら、すでにIPv4アドレスが設定されているルータにIPv6アドレスの設定を入れたり、隣の人とペアになってOSPFを貼って冗長試験を体験していただきました。
午後には株式会社IoTスクエア 許先明氏が登壇して、サーバの構築体験をしました。簡単な座学のあと、まずはサーバにIPv6アドレスを設定するという作業からはじまり、後半はApacheやDNSなどのIPv6設定について学んでいただきました。
普段から業務でルータやサーバに触れている方から、直接業務で設定する機会は多くないが参加してみたという方まで幅広い方に参加いただき、講師やTAに質問しながら皆さん熱心に作業しているのが印象的でした。
参加後のアンケートからは「バラエティに富んだ内容で楽しく学ぶことができました。」「実際に失敗して修正することで自分の中で理解できた部分もあり、ハンズオンセミナーの重要性がわかりました」などのコメントをいただきました。今回のイベントがIPv6導入の一助になれば幸いです!
最後になりますが、今回開催に多大なご尽力をいただいた株式会社ZTV様にはあらためて感謝申し上げます。ありがとうございました。