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News & Views コラム:インターネットで感じる物理的な距離

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メールマガジンで配信したインターネットに関するコラムを、このブログでも紹介しています。今月は、沖縄通信ネットワーク株式会社の吉浜賢さんに、沖縄のISPにお勤めゆえに見えてくる通信コストの地域格差について語っていただきました。


インターネットは物理的な距離をあまり感じることなく、効率的に通信ができる基盤として発展してきました。現在では、映像配信サービスさえも一般的になりトラフィック量は爆発的に増加し続けていますが、東京を中心とした日本のインターネットは、おおむね上手くこの問題に対応しているようです。

●通信コストの地域格差

一方で、東京から離れているISPにとって、対応に苦慮している課題もあります。通信コストはどんどん低廉化していますが、地方のISPは東京から離れている分のコストを(専用回線費用や大手ISPの地方POI (Point Of Interface、相互接続点)利用で)負担する必要があります。沖縄県の場合は、東京から直線距離で1,500km以上も離れていることもあり、最終的な調達コストは(肌感覚ですが、同一グレード品目/同一帯域で)3~5倍負担していると感じています。

ちなみに沖縄県民の月額の平均賃金は、厚生労働省発表の「賃金構造基本統計調査(平成30年)」によると246.8千円で、これは東京都の平均である380.4千円と比較して約65%の水準です。

都市部以外でもリッチコンテンツの利用が増加している傾向は変わらず、当社コンシューマー顧客の平均ダウンロードトラフィックは、総務省の「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算(2019年5月分)」で導き出されたブロードバンド契約書1契約あたりのダウンロードトラフィック推定約299.4kbpsよりも大幅に多い状況です。賃金の低い地域で製造原価が逆に高くなってしまう構造は、事業を継続し発展させる上で大きな課題ですが、これは沖縄県に限った課題ではなく、地方で通信サービスを提供している事業者共通の構造的な課題だと思います。もう少し上手くできないものかと悩んでおります。

●沖縄県内にもあった! 通信コストの地域格差

沖縄県は離島が多いこともあり、もっと深刻な格差が発生しています。例えば那覇市と宮古島市は289km、石垣市は406km離れていますが、離島ではそもそも調達できる回線品目も限られる上、同じ帯域だと那覇と比較して5~10倍(東京対比だと15~50倍!)もコストがかかります。ここまでくると、事業者の自助努力ではどうしようもなく、どうにかしてあげられないものかと悩んでおります。

インターネットはとても素晴らしい通信インフラですが、日本に限らず世界中の地方にもこのサービスを届けるためには、この構造的な問題をどうにか解決する必要がありそうです。

 


■筆者略歴

吉浜 賢(よしはま まさる)

1998年にまったく別の分野からISPエンジニアに転職。地方の小規模ISPだったこともあり、サーバーもネットワークも幅広く手がける必要があった。2001年にISP部門が沖縄通信ネットワーク株式会社に吸収され、現在に至る。社内SE業務も経験したが一番好きな分野はルーティングで、直近では小規模ながらAS統合業務などを担当。