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APNIC49 フォトレポート

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2020年2月12日~2月21日まで、APRICOT 2020/APNIC 49カンファレンス がオーストラリアのメルボルンにて開催されました。APRICOTでは、インターネットの運用、技術、開発などの幅広いトピックについて議論が繰り広げられます。JPNICからは、2月より新たに技術部メンバーとして入社した筆者と、複数名が参加しました。ここでは、60の国と地域から563人が集った(*1) APRICOT2020 を、「そもそもAPRICOTって?」という観点から入社直後の視点(?)でお伝えしたいと思います。

 

 

APRICOTと開催地メルボルン

APRICOTは「Asia Pacific Regional INTERNET Conference on Operational Technologies」の略で、アジア太平洋地域における最大(*2)の、インターネットにまつわる国際会議です。おおよそ10日間開催される本イベントでは、セミナー、ワークショップ、チュートリアル、セッション、BoF などが行われます。ここでアジア太平洋地域のインターネット運用に関する知見を共有し、広げることを図っています。参加者は、インターネットの技術の「今」と「未来」を知り、また議論に参加することができます。

 

 

さて今年のAPRICOT2020は、オーストラリアの都市、メルボルンで開催されました。メルボルンはオーストラリア大陸の南東部に位置し、美しいガーデンシティとされています。オーストラリア有数の港を抱え、いわゆる1850年頃の「ゴールドラッシュ」以降、急激な人口増加で都市へ発展していきました(*3)。メルボルンは、植民地政府の成立時に在位していたヴィクトリア女王の名にちなんだ「ヴィクトリア州」に位置し、女王在籍時代の建造物が多くみられる場所でもあります。

 

聖パトリック大聖堂 (St Patrick’s Cathedral)
結婚式にも利用されるという大聖堂は、1939年に完成しました。
大聖堂の建設が発表された1858年から、長い年月をかけて建築されています(*4)

ところで、APRICOT/APNICの会場はアジア太平洋地域内の都市から選ばれます。2021年夏のAPNIC52は、札幌で開催されることになっています。

APRICOT2020のはじまり

Opening Ceremony:スマートフォンで撮影する人が増えたなあ……とは、ベテラン勢のつぶやきでした。

APRICOTでは、Opening Ceremonyが開催されます。昨年の会場では現地韓国の和太鼓演奏でしたが、今年はディジュリドゥ(アボリジニの伝統的な楽器)演奏でした。Opening Ceremonyを迎えると、APRICOTが始まるのだなあ……と高揚される方もいらっしゃるのではないのでしょうか。

Opening Ceremony が終わると、いよいよセッションが始まっていきます。セッションでは、最新の動向や技術、ポリシーなどの議論が活発になっていきます。会場に設けられたマイクには、質問を行うために行列ができたこともありました。

  

議論が落ち着いて休憩の際には、コーヒーと軽食が毎回ふるまわれました。地元の野菜をふんだんに使ったサンドイッチや、出来立てのケーキが食欲をそそります。またこの時間は、他の参加者と気軽にコミュニケーションが取れる場でもあります。

セッション

  

RPKI Deployathon での workshop の様子。それぞれグループ内で協力しながら作業に当たりました。

 プログラム冒頭には、workshopの1つである RPKI Deployathon が行われました。ここでは、RPKI Validator の環境を構築、ルータへ接続し Validator の仕組みとルータとの連携を学ぶことができます。本workshopでは、20の国と地域から49名が参加しました。環境も、さまざまなものが提供されています。例としてルータでは、Cisco (IOS & IOS-XR)、Juniper、Nokia、Arista、FRR、 etc… と多様です(*5)。また環境だけでなく、さまざまなバックグラウンドをもった参加者が、互いに協力しながら構築を行ったり、他のグループのルータとコネクションを張ったりしました。

APNIC NIR SIG では、JPNIC から IPv6 のセミナーについてご紹介。資料はアーカイブでご覧いただけます。

APNIC NIR SIG では、各 National Internet Registries (NIR) の最近の取り組みなどが報告されました。JPNICからは、IPv6普及促進の一環で国内各地で実施している IPv6 summit の紹介や、他のコミュニティとの関わりについてご紹介しました。さらには、IPアドレス/AS番号の分配状況などの統計データをお見せし、日本国内の近況についてお伝えしました。他のNIRでも同様の紹介がなされますが、これにより各NIRにおける最近のトピックや当該国の運用状況について一通り知ることができます。互いの状況を理解し、協調することが、安定的なインターネットの運用につながります。

おわりに

Closing での発言ログ。JPNICの貢献について謝辞をいただきました。

今回、JPNICは APRICOT2020の RPKI Community Sponsorを務めました。また、APRICOT期間中には APNICメンバーと諸問題を解決するための個別ミーティングを行いました。その場で感じたことは、JPNICへの期待の声は大きく、その分責任とやるべきことは多いが、大変意義深いということです。

また同時に、JPNICでは若手の皆様の参加を支援する施策「APRICOT 2020参加支援プログラム」を行いました。
本施策は、海外の技術動向に興味・関心を持つきっかけを提供するべく支援するもので、参加者から大変好評をいただきました。趣旨にご賛同いただきました協賛企業のみなさま、ありがとうございました。

JPNICでは、みなさまのご理解とご支援を頂戴しながら、日本をはじめとするアジア太平洋地域のインターネットの円滑な運営に貢献してまいります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

  

APRICOT2020 Social の会場。25周年を記念して珍しい着席パーティも開かれました(2枚目)。


参考

*1 https://2020.apricot.net/report/
*2 https://conference.apnic.net/49/about/
*3 https://jp.visitmelbourne.com/regions/melbourne
*4 http://www.cam.org.au/cathedral/History/Article/13331/Dates-in-the-History-of-St-Patricks-Cathedral
*5 https://2020.apricot.net/program/schedule/#/day/6/rpki-deployathon

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