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ICANN67―初の遠隔参加のみのICANN会議

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2020年3月7日(土)から12日(木)まで開催される第67回ICANN会議が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、会場での開催を取りやめ、史上初の遠隔参加のみの開催となりました。

本稿では、遠隔参加のみとなった経緯、および遠隔参加方法についてお伝えしたいと思います。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス Rick González 氏による作品Cancúnクリエイティブ・コモンズ 表示 2.0 一般 ライセンスの下に提供されています。

ICANN会議とは

インターネットの基盤であるDNSの安定かつ適切な運用、および、ドメイン名、IPアドレスといったインターネット資源の管理にはグローバルな協調を行う必要があります。そのため、それらの管理方針を策定する場として、公開会議を年3回、世界の異なる地域で開催しています。

昨年2019年3月には19年ぶりに日本(神戸、アジア太平洋地域、第64回)での開催となりましたが、その後マラケシュ(モロッコ、アフリカ地域、第65回)、モントリオール(カナダ、北米地域、第66回)で開催されてきました。今回はラテンアメリカ・カリブ海地域からメキシコ、キンタナ・ロー州カンクンが選定されました。

オンラインのみの会議へ

2019年12月に中国・武漢で最初に報告された、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急速な広まりにより、世界各地でイベントが中止され始めました。

このような状況を見て、ICANNからの第1報は、2020年1月31日にブログ記事「コロナウイルスに関する最新情報とICANNに対する影響」としてセキュリティ部門(サイバーセキュリティだけでなく、設備やICANN会議の物理的なセキュリティも担当します)から公開され、その時点では今後のICANNのイベントに顕著な影響はないためICANN67は予定通り開催するとしながらも、変更があればすぐに知らせるとしました。

2月14日には、事務総長Göran Marby氏による第2報ブログ記事「ICANN67の計画とCOVID-19に関する最新情報」が公開され、ICANNコミュニティの健康が最重要課題なので状況を継続して調査中で、ICANNコミュニティのリーダーに対し、本件について2月18日17時UTC(日本時間19日午前2時)に詳細を議論するため電話会議を行う旨を表明しました。その告知には、世界保健機関(WHO)やラテンアメリカ地域で発表されたCOVID-19に関する状況、およびICANN67への考えられる影響を列挙しています。

電話会議の翌日2月19日には、ICANNからICANN67を遠隔参加のみで開催する発表がなされました。前日の電話会議を受けて、理事会がその旨決議した結果を受けての発表になります。理事会決議を読むと、ICANN事務局が危機管理チームを1月の時点ですでに立ち上げていたこと、ICANN会議を対面で開催することの重要性は理解するものの、保健および安全は最重要であり、(普段から各支持組織/部会/諮問委員会などでの遠隔会議に慣れている)ICANNコミュニティおよび事務局が遠隔参加に挑戦する能力はあるという判断に至ったようです。

遠隔会議とすることについてのFAQ

2月24日には、ICANN事務局が用意した遠隔公開会議に関してよくある質問とその回答(FAQ)が公開されました。その中で主なものを以下に挙げます。

  1. 遠隔のみの会議とした理由 :ICANNが第一に懸念するのはグローバルなマルチステークホルダーの健康と安全であること、WHOがCOVID-19が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」となったことを宣言したこと、ICANN会議には150以上の国/地域から参加者が集まるため、感染地域からの人々を(発表の時点では)1人も感染者が出ていないカンクンに連れてくるリスクがありました。これらに加え、ICANN事務局の危機管理チームがWHOやCDC(Centers for Disease Control and Prevention、米国疾病予防管理センター)が提供する情報を元に状況を精査した結果、遠隔のみとしました。
  2. 場所や日程の変更を行わない理由:仮にこれらの変更を行っても、参加者やホスト国居住者の健康と安全が確保できる保証がないためです。さらに、いかなる場所においても、計画および契約プロセスには数ヶ月を要するためです。
  3. 会議開催を中止しない理由:ICANN会議はコミュニティの任務と一体化していること(会議を止めるとポリシー策定が遅れると思われます)、およびコミュニティメンバーは(各グループ内で)遠隔会議への参加をほぼ毎日のように行っており、遠隔会議で使われる技術には慣れていることが挙げられます。
  4. ICANN67以降に開催されるイベントに関する決定をいつ行うのか:状況が明確になれば別ですが、決定の明確な日程は提供できません。引き続き情報を収集し保健当局の案内を注視します。
  5. カンクンで開催される予定だったすべてのセッションはオンラインで実施されるのか?:ポリシー策定支援チームおよび会議関連の複数のチームがスケジュールの変更に取り組んでいます。変更後のスケジュールはICANN67会議サイトで公開予定(注:すでに公開されています)です。
  6. 遠隔会議はどのタイムゾーンが使われるのか?:カンクン時間(UTC-5、米国東部標準時と同じ、ただし夏時間はなし)です。3月7日から12日までの9時から17時(日本時間で当日23時から翌日7時)となります。

遠隔会議プラットホーム

ICANN67のセッションに参加するには、ICANN67スケジュールページより入り、視聴したいセッションを選びます。ユーザー登録を行うと、参加したいセッションに印をつけることができ、MY SCHEDULEで印のついたセッションだけ一覧表示することができます。

ICANNグローバルコミュニケーションおよび言語サービスによるブログ記事およびエンジニアリング部門のブログ記事より、初の仮想コミュニティフォーラムにおける会議プラットフォームおよび多言語サービスについて抜粋します。

  • Zoomというオンライン会議プラットホームが使用されます。通常のセッションは300名まで収容可能な(通常の)Zoom Meeting、Public Forumなどのように多数参加が予想されるセッションでは Zoom Webinarが提供されます。[Zoomヘルプページ
  • ICANN事務局は8つまで同時利用できるZoom上の仮想会議室を提供します。各仮想会議室には、機材およびサポート人員の都合で米国ロサンゼルスにあるICANNオフィスの部屋が割り当てられます。
  • 同時通訳音声はスペイン語とフランス語のみで最大2セッションまで同時提供され、同時通訳支援用に2つZoom上の仮想部屋が提供されます。参加者がスペイン語またはフランス語でZoomのチャット機能を使い質問すると同時翻訳されます。
  • 同時通訳提供の優先順位はGAC(政府諮問委員会)とALAC(At-Large諮問委員会)のセッションとなっています。
  • 英語での即時発言録は重要セッション(GACや理事会)のみ提供されます。
  • 全ての録音および英語での発言録はセッション終了後72時間以内に公開され、追って国連公用語6ヶ国語の発言録が作成公開されます。

日本から遠隔参加する際の問題

時差についてが最大の問題ではないでしょうか。FAQにあるように、日本、ひいてはアジア太平洋地域からの参加者にとっては、かなり参加しにくい時間帯での開催となっています。対面会議であれば、人によっては時差ボケが発生するものの、順応可能ですが、遠隔で昼夜逆転するのは、個人差や慣れもあるでしょうが、簡単なことではないでしょう。[日本時間とカンクン時間の換算]

リアルタイムでの参加が必要ない(質問や議論をせず聞くだけ)場合は、日本時間で都合のよい時間帯になるのを待って録音または録画を視聴するのも手です。

概要さえわかればよいという方、もしくは日本語で内容をお知りになりたい方は、追って(4月以降)開催を予定しているICANN報告会に参加または視聴なさるのも手です。