JPNIC Blog JPNIC

IPv6対応状況に関するアンケート調査結果報告

ip_team 

JPNICでは2014年から毎年IPv6の対応状況について、JPNIC会員をはじめ、IPアドレス管理指定事業者とPIアドレス割り当て先組織等に対してアンケート調査を実施しています。

今回で6回目となる調査を2020年4月2日から4月30日までの期間、オンラインアンケートによって実施しました。この期間に新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が出され、多くの組織においては在宅勤務体制が取られたり、業務の縮小があったのではないかと推測します。この影響もあってか、今回のアンケートの回答数は134件とこれまでで一番少ない結果となってしまいました。

本記事では、このアンケートの集計結果を過去の調査結果との比較や分析とともに報告します。

1. 回答者プロフィール

アンケートの案内は、JPNIC会員、IPアドレス管理指定事業者(以下、IP指定事業者)、PIアドレス割り当て先組織、そしてAS番号割り当て先組織を対象に送っています。その中から回答いただいた組織を、JPNIC会員とそれ以外、またIP指定事業者とそれ以外に分類して集計しています。

今回からあらためて、JPNIC会員の方とそれ以外の方を確認する質問を設けました。JPNIC会員の方からの回答が半数以上を占めるという結果となりました。

 

今回からIP指定事業者、IP指定事業者以外の歴史的PIアドレスホルダー、特殊用途用PIアドレスホルダーの他、AS番号のみの割り当てを受けておりIPアドレスの割り当てを受けていない組織がどの程度いるか、細かく分類して回答いただくようにしました。

IP指定事業者とIP指定事業者以外の割合はほぼ同数近くで、IPアドレスの分配をうけていない組織が4%弱、実数としては5件ありました。

回答者の地域別分布については、IP指定事業者など契約組織が最も多く、毎回回答者数でも最多になる東京が今回の調査では極端に少ない結果となりました。

IP指定事業者には、東海地域のCATV事業者が多く(参照ブログ記事:IPアドレス管理指定事業者の実態に迫る!)、その影響もあり毎回東京に次ぐ割合を示す中部地域が、今回一番多い割合となりました。

あくまで推測ではありますが、東京では2020年3月26日に、その週末の外出自粛要請が出され、それ以降も在宅勤務や時差出勤が推奨されるなど、通常業務を一部縮小する動きがあり、それが影響したのではないかと考えます。もちろん、他地域でも同様の動きはありましたが、東京は元々組織数が多いことから、インパクトも大きくなったのではないかと思います。

IP指定事業者が提供しているサービス種別と、IP指定事業者以外の組織種別についても毎回確認しています。

IP指定事業者については、ほぼ毎回CATV事業者の割合が最も多くの割合を示しており、今回も今までで一番多い割合となりました。一方で、一般ISP、ホスティング、データセンターの選択割合が相対的に落ち込む結果となりました。

IP指定事業者以外の組織種別については、前回増えた一般企業の割合が今回は、それ以前の状況に戻り、学校・研究機関の占める割合が増加しました。

 

2. IPv6対応/利用状況

IP指定事業者におけるIPv6対応状況について、年度ごとの推移と、サービス種別で比較したものです。

今回の調査では「IPv6対応完了」が12.5%と昨年度の調査よりも大きく減少する結果となりました。一方で、「対応予定なし」の回答が4.7%と過去最低で、IPv6対応は「やらなければいけないもの」という認識が広がってきたのではないかと期待します。

サービス種別で見た場合でも、学術機関公共団体などで半数が「対応予定なし」となっていますが、実数としては2組織で、ほぼすべての事業者においてIPv6対応に取り組まれている、または計画されている状態になっていると言えます。

IP指定事業者以外の組織におけるIPv6利用状況については、「利用している」という回答がこれまでで最も多い割合を示しました。組織種別で見ると、一般企業よりも学校研究機関で「利用している」とする割合が多くなっています。

IPv6に対応しているIP指定事業者が、割り振りを受けたIPv6アドレスに対してどの程度逆引きレコードを登録しているか、という設問に対しては、「登録していない」という回答が昨年度までから減少し、「一部分のみ」を含めて登録している割合が6割以上となっています。

 

3. セミナーについて

JPNICが開催している技術セミナーや地域でのIPv6対応セミナーなどについて、受講経験や受講意向を確認しています。

継続的なセミナー開催のおかげで、受講経験者が着実に増加傾向にある他、受講を希望する割合も6割前後で推移し、セミナー需要が継続していると言えます。

また、セミナープログラムについての要望を自由記述で回答してもらったところ、初級者向けのハンズオンセミナーや、DHCPv6-PDを含めたIPv6環境構築などの技術解説の他、DNSやBGPなど現在あるプログラムについても希望をいただいており、継続的なセミナー開催の必要性を実感しました。

 

4. JPNICからの情報発信について

こちらも毎回設問の中に含めている、JPNICからの情報発信について、どの媒体を利用しているかの回答結果です。

毎回、会報誌が最も利用されている媒体という傾向は変わりませんが、メールマガジンが過去最多の割合を示していること、またJPNIC blogの割合が徐々に増加しているなど、回答者の方がJPNICの情報媒体を活用いただいていることがうかがえました。

IPv6に関する情報のニーズを確認した結果、国内のIPv6対応状況、動向に関してが最も多くなっています。IPv6 SummitやIPv6地域セミナーなどで、最新の普及状況などの発表を行っていますが、引き続きさまざまな媒体や機会を通じて発信していく必要性を感じました。

また、「その他」としていただいたご意見の中には、コンテンツ事業者や自治体におけるIPv6の対応状況や動向といったものが多くあり、ネットワーク側の対応が進む中で、アクセスされる側の対応状況に興味が向いてきている状況を実感しました。

 

5. IPv4アドレス移転経験

今回もIPv4アドレス移転の経験について尋ねています。IPv4アドレスの入手動向は、IPv6対応と密接に絡んでくるため、この動きも継続して確認していきたいと思います。

今回の回答者は、これまでよりも移転に対して何らかのアクションを取った方が半数近くに上る結果となりました。移転経験のある回答者は前年度までと大きく変わりませんが、自身のIPv4アドレスを譲り渡す先を探した経験があるという回答の割合が増加していました。このIPv4アドレスを譲り渡そうする動きとIPv6普及の関係について、今後も注目していきたいと思います。

 

6. 最後に

今回のアンケート調査では、最後にもう1問、コンテンツ事業者のIPv6対応について各団体や組織における取り組みの認知状況を確認しようと設問を設定しておりましたが、「あてはまるものがない」という選択肢を含めなかったため、回答いただいた結果を適切なデータとして扱うことができませんでした。回答者の皆様からも多くのご指摘をいただきました。この場を借りてお詫び申し上げます。

次回は設問、選択肢をより精査した上で、アンケート依頼を行うようにしたいと思います。

この定点観測調査も今回で6回目となりますが、引き続きIPv6対応の進捗状況が確認できるように継続していきたいと思いますので、今後もご協力のほどよろしくお願いいたします。