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News & Views コラム:テレワークで考えるインターネットの将来

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メールマガジンで配信したインターネットに関するコラムを、このブログでも紹介しています。今月は、富士通株式会社の栃尾祐治さんに、2020年3月にフルリモートで開催されたIETF 107会合を振り返りつつ、テレワークを通じて考えるインターネットの将来についてお書きいただきました。

 


新型コロナウィルス対策のなか始まった2020年度、筆者も年度末から続くテレワークで始まり、4月に入ってからは完全に自宅勤務になっています。

自宅勤務を続けるとどうしてもテレビに目をやってしまい、連日放送されるニュースやワイドショーを見てしまうわけですが、放送スタイルが日を追うごとに変わっていくのがわかります。一部の出演者がリモート出演になり、スタジオ内のキャスターの間隔が空いていき、間には透明のパネルが設置されたりするなど、とにかく接触機会を減らしつつ番組を提供する姿勢が伝わってきます。

そんな感じで始まった新年度ですが、ご存知の通り、2020年3月下旬のIETF 107会合は、はじめてのall-virtual会合(*1)となりました。この会合では新WGないしはBoFを中心に開催し、多くのWGは4月に中間会合という形で連日(日本では連夜)開催されることになりました。

一方、Side Meetingは、ほとんど開催されませんでしたが、先々月の3月25日に”New IP Architecture and Protocols Meeting”が開催されました(*2)。お気づきの方もいらっしゃると思いますが、これは2019年末から国際電気通信連合(ITU)などでも話題になっていた中国提案のNew IPにも関わるもので、ちょうど3月下旬にIESG (Internet Engineering Steering Group)からリエゾン文書(*3)が送付されたこともあり、一部のネットニュースでも話題になったものと関連があります。

リエゾン文書の中身はかなり否定的というか保守的な返信ですが、Side Meetingで紹介されたインターネットドラフト(*4)やユースケースとして参照しているITU-T FG NET-2030 TR(*5)を読むと、New IPとして取り組むべき課題は多々あるのかなと思ったりもします。例えば、Holographic type communications (HTC)。これが実現できていれば、今のニュースやワイドショーなどのテレビ番組は、見る側にも送る側にも、リアリティーある放送ができたかもしれないし、それこそテレビ放送のスタイルを変えてしまう契機になるかもしれないと考えてしまいます。

5月に入っても、しばらく自宅での生活と業務が続きそうです。同時にこの期間は、インターネットをはじめとしたネットワークにとって、2030年や6Gを待たずとも新たな展開を生み出す契機になるかもしれないと考え、この先、数週間を乗り切っていきたいものです。

(*1) https://www.ietf.org/blog/ietf107-highlights/
(*2) https://etherpad.wikimedia.org/p/v107-side-meeting
(*3) https://datatracker.ietf.org/liaison/1677/
(*4) https://tools.ietf.org/html/draft-bryant-arch-fwd-layer-ps-00
(*5) https://www.itu.int/en/ITU-T/focusgroups/net2030/Documents/Technical_Report.pdf

 


■筆者略歴

栃尾 祐治(とちお ゆうじ)

富士通株式会社所属。主に次期トランスポートネットワーク(伝送網)に関わる仕様検討・調査を行う他、近年ではITU-T、IETFなどの標準化活動に参画。ISOC-JPではインターネット標準化推進委員会(ISPC)委員を務める。