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APNIC50 視聴者ウォッチレポート

tech_team 

2020年9月8日から10日まで、APNIC50 カンファレンスが開催されました。今回は、新型コロナウイルスの影響を受けて完全オンライン配信となりました。JPNIC においても、技術セミナーをオンライン開催するなどの対応を行っていますが、初めての試みも少なくなく、より良い配信を目指して手探りな状況です。そのため視聴者の視点でいくつかの知見が得られたことは、大変有意義でした。ここでは、 初めて自宅からの参加となった APNIC50 を「こんな風に議論を見られた&議論に参加できた」という視聴者の目線でお伝えしたいと思います。

APNIC50 の概要、プログラムの内容に関しては別記事で配信予定です。こちらもお楽しみに!

配信プラットフォーム

APNIC50 では (1)YouTube Live  (2)Zoom ウェビナー の2つの視聴手段が用意されていました。

YouTube Live

APNIC 公式チャンネルでの配信。配信時間になるとチャンネル上でライブ配信へのリンクが表示されます。チャンネルは公開されているため、特に登録の必要なく誰でも視聴することが可能となっていました。また、Zoom と異なり特別なアプリケーションを入れずに閲覧が可能であること、YouTube というプラットフォームが手軽で、世界中で支持されていることから、気軽に閲覧が可能な方法として挙げられます。一方で、リアルタイムに議論の場に参画する仕組みはありません。チャットも無効化されており、「いいね」等のリアクションができるにとどまります。あくまでストリーミング配信としての機能が活用されていると言えます。

プログラムが終了した後は、アーカイブ動画として前述の公式チャンネルで公開されます。こちらも登録の必要なく誰でも閲覧できました。アーカイブ動画についてはコメントも有効化されており、感想などを書き込むことが可能となっています。

Zoom ウェビナー

Zoom のウェビナーを用いての配信。ウェビナー参加へのリンクは、My APNIC にログインし、APNIC50 に登録した者だけが表示することができます。そのため、事前の登録が必須となっています。登録自体は誰でもでき、APNIC50 の登録は無料でした。

YouTube Live との大きな違いは、視聴者がリアルタイムに議論に参画する仕組みがあることです。これについては後述したいと思います。

プラットフォームの違い(視聴者目線)

以下の表は、今回の APNIC50 においてのアプリの違いを視聴者目線で記載したものです。アプリの機能を比較するものではなく、主に主催者の設定したポリシーを比較するものです。

  YouTube Live Zoom ウェビナー
アプリのインストール必要性 なし なし(PCに限る。一部機能制限有
視聴のための登録必要性 なし あり(My APNIC
遅延 Zoom と比較し数十秒の遅延
議論への参加(質問等) 不可 可(挙手機能、QAボックス利用)
チャット機能 不可(無効) 可(有効)
タイムシフト視聴 不可

議論への参画(コメント・質問)

前述の通り、Zoom に限って議論にリアルタイムで参画することが可能でした。ここではその方法を簡単に述べたいと思います。

方法は2つあり、(1)挙手機能を用いたもの(2)QA ウインドウを用いたもの でした。これは先日行われた JANOG46 でも活用された手法です。なお、この手順は APNIC ホームページでも紹介されていました。

Zoom ウェビナー挙手機能

「手を挙げる」というボタンが Zoom に用意されています。参加者は発言をしたいとき、このボタンを用いてその意思表示を行います。その後、主催者側で手を挙げた参加者を指名し、その者のミュート解除を許可することで、その参加者は発言ができるようになります(許可なくミュートを解除することはできない設定が有効でした)。なお、発言の前には、通常の会議と同様に、氏名や所属を明らかにすることが求められています。

QA ウインドウ

Zoom に用意されている質問専用のウインドウです。参加者はいつでも質問をテキストで送信することができます。投稿された質問を他の参加者に公開するタイミングは、主催者側で制御することができますが、APNIC50 では質問の投稿と同時に自動で公開されていたようです。これにより、質問の都度主催者側で制御する必要が無いため、その場のオペレーションは簡単になります。一方、不適切な質問があった場合にも他の参加者に見えてしまうので、対応が難しいところです。例として、JPNIC で主催した初心者セミナーや、先日の JANOG46 においては、質問があった都度内容を確認し、公開タイミングを主催者側で都度制御するようにされていました。

クローズドキャプション

APNIC のカンファレンスでは、会場での発言の内容をリアルタイムに表示する取り組みが行われています。今回の APNIC50 でもそれは活用されており、プログラムページにそれを表示するためのリンクが置かれていました。活用方法としては、参加者の声とリアルタイムに比較することで、英語のリスニングが苦手な人も文字で読めるため内容を理解しやすいことが挙げられます。究極の方法としては、テキストをコピーし、翻訳サイトで翻訳することで、おおよその内容をつかむことも可能です。

なおこのテキストデータは Zoom の字幕機能にも転送されており、そちらでも表示することが可能でした。

投票機能

Zoom での視聴者を対象として、簡単なアンケートが行われていました。内容はプログラムを5段階で評価するというシンプルなものとなっており、視聴者としては気軽に、手間を感じることなく投票することができました。一方で、Zoom の投票機能を用いているため、Zoom のウェビナーが終了すると同時に投票の受付は終了となります。予告なく終了すると投票ができない人も出てきそうなので、多少の時間を持たせるなどの配慮が必要かもしれません(筆者も投票しようとしたところ、突然ウェビナーが終了し、投票できなかったことがありました)。


番外編~参加者を巻きこむ取り組み~

ソーシャルイベント

Zoom とは別のプラットフォームを活用し、1日目の最後に視聴者参加型のクイズ番組(?)が行われました。Live 配信でクイズの内容を表示し、ユーザの回答は別のアプリを用いて集計されることで、双方向が参加するリアルタイムな番組となっていました。画像にもある通りチャットツールがあり、参加者は嘘か本当かわからない答えを書き込んでいきます。文字通り高度な情報戦が繰り広げられ、これを含めたユーザ参加型の非常に盛り上がったプログラムになったのではないかと思われます。

筆者は、そもそもの正解数が少なかったことが主な敗因でしたが、在宅勤務ならではの事情もありました。自宅のネットワーク環境に起因し、配信が10秒ほど遅延していたようです。一方、当然ながら回答はリアルタイムで締め切られるため、回答時間という条件で不利になります。その分緊張感をもって(?)1つ1つの問題に取り組めました。

SNS の活用

APNIC のWebページ上や、各プログラムの中で司会によって「#apnic50」を用いた SNS への投稿が呼びかけられました。Zoom 等の公式の場以外においても、活発なやり取りが行われていたようです。

また SNS 上では、「ANIC50 に参加しているよ!」といった投稿も多く見られました。遠く離れていても、みんな一緒に参加しているのだなと感じることができました。


振り返ってみると、あっという間の3日間でした。自宅から参加できるので、参加のしやすさは格段に上がっているとは言えますが、やはり会場で活発であった人との現地交流が行えなくなったことは、一抹の寂しさを感じます。さて、2021年夏のAPNIC52は、札幌で開催されることになっています。まだこの先がどうなるかは不透明ですが、無事に開催できることを祈りつつ、筆をおきたいと思います。

* 掲載している写真は、プライバシー保護のため一部を加工しています。