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News & Views コラム:未曽有の世界にあって、わくわくするほど社会を支えたインターネットについて語りたい、Internet Week 2020

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メールマガジンで配信したインターネットに関するコラムを、このブログでもご紹介しています。9月は、Internet Week 2020のプログラム委員をお務めいただいている株式会社イエラエセキュリティの林達也さんに、IW2020のプログラム編成にかける思いをお書きいただきました。

 


“JPNIC News & Views”、何度か打診をいただいたこともあるのに、もしかしたら初めての執筆かもしれません。Internet、特にIETF界隈では、”lef”や「Lepidum」の人として認知いただいている気がしますが、今回は株式会社イエラエセキュリティの取締役 林達也としてInternet Weekのプログラム委員を務めさせていただき、さらには本稿を書かせていただくことになりました。

この未曽有の大過の中ですから残念なことにネタには困らないわけですが、そんな中だからこそ、Internet Weekのプログラムを考えるにあたっては「インターネットはどういう役割で、どういうことに寄与した、またはしなかった」、「インターネットはどういう役割で、どういうことに作用を・副作用を起こした」ということを主軸としてブレないように考えていかなくてはと思いました。テーマは「わくわく大作戦」ですよ?そのための資料はガッツリ出さなきゃってなりますよね。

ご紹介したいのは、3枠です。

(1) 専門性で言えば、デジタルID、認証/認可(プロトコル)、セキュアプロトコルです。リモートワークとセットで急速にバズワード化した「ゼロトラスト」という単語については、2019年のセッション企画にも関わっていましたが、今年は身に染みたからこそバズワードさはさらに落として、研ぎ澄ました本質についてということで、改めて「ID Management」というテーマとしました。エンタープライズで辛酸を味わったような人、クラウド時代の新しいアーキテクチャを考えている人にお話しいただきたいと思います。

ゼロトラストというプロダクトやソリューションはありません。ZTNA (Zero Trust Network Architecture)は、組織を含めた「系」(システム)のアーキテクチャです。ポン付けでできることではないと、僕は思うのでその裏付けを登壇者からしっかりきっちり伺おうと思っています。(などと書いていると、もしかしたら「ドコモ口座」みたいな話が突如出てくる、そういう状況も含めて構成中です)

 

(2) また、特にインターネットやウェブのことを真剣に考えると、個人の自由とインターネットの関係性がどういう仕組みで維持できているのか、その重さは測られていて耐えられる構造なのかということを考えざるを得ません。いつからか、Internet Weekには「社会派枠」という素晴らしい枠があって、摂取するだけで胸やけを起こし、脳細胞がフル回転して血糖値不足になりそうなものすごい濃いテーマがBoFも含めて話されてきました。「なんで僕のパケットが望んだところに届くのか?」これには多くの多くのステークホルダーがいるわけです。

インターネットがめざす姿と、根源的に関係があるのはこの定義の難しい「自由」というものだと思います。僕自身としては、国内外の時事ネタも拾いながら、いまの危機と未来の課題をインターネットの自由のテーマから追いかけてみたいと思っています。

具体的にはまだギリギリ検討中ですが、
1. パンデミック対応とインターネット
2. 社会とデジタル化の現状とめざすべき未来:コロナ対応における各国の状況
3. インターネット社会の進歩とは何なのか、そしてこの後どうあるべきか

といった辺りをテーマにしていきたいと思ってプログラム編成中です。もしかしたら、ビッグなゲストが登場するかもしれませんが、そこは確率の低い話なので、期待値は上げずに運を祈ってください。

 

(3) 最後に、これも社会派枠(なぜ他と違って「派」なんだろう?)なのですが、「社会変容」をキーワードに、「インターネットがパンデミックとそして社会とどう関わったか」、「社会の制度設計やデジタル化の現状とめざすべき未来:コロナ対応における各国の状況」というような話を、こちらも魅力的なパネリストにパネル形式でお話しいただけたらな、と思っています。

– 日々、毎年、危機感を増していくテーマ。Internetの自由とは何なのか。
– 我々は非常に恵まれた環境にいる。e.g.) 香港
– 監視 vs. 自由……という単純な図式では語れなくなりつつある現状
– そもそもみんなの言うインターネットって何?結構、The Internetの自由とは違うかもしれないよ? e.g.) 中国
– そもそもIGFに興味ある人ってどのぐらいいるの?
– プラットフォーマーとコントロールの関係
– 囲い込み vs. オープン
– プライバシーとデータポータビリティ

現在進行形なので当日どうなることやら、という側面はありますが、我々が考えないといけないテーマは多々あることは間違いないでしょう。

 

Internet Weekを完全なオンラインで開催するのは今年初の試みです。自分の担当枠の宣伝のようになってしまいましたが、ほぼ大詰めながら、決まっていないものもあります。例年とは違う開催形態になる見込みのため、議論はしにくいかもしれませんが、参加していただきやすい形になると思います。対コロナで大事なところを残し、精査しそぎ落としていきながら、新しいことに挑戦するInternet Weekをぜひ、その目でご覧ください。いえ、参加してください!

大きな期待と、少しの不安、そして受け入れる心を持って、ガッツリご参加いただければと思っております。

 


■筆者略歴

林 達也(はやし たつや)

株式会社イエラエセキュリティ 取締役。エンジニア、コンサルタントを経て、2004年に情報技術の研究開発支援・コンサルテーションを行う株式会社レピダムを創業。2009年頃から主にW3CやIETFを中心としたウェブ及びインターネット技術の標準化活動に参加。研究機関等の客員研究員や所員、各省・各団体の委員等を兼任する他、Internetとそのセキュリティに20年以上従事。近年は認証・認可技術やプライバシー、パーソナルデータ分野に精通し、OpenIDファウンデーション・ジャパン理事を経て、デジタルアイデンティティ分野の技術者および企業コミュニティをリードしている。