News & Views コラム:COVID-19から見た通信インフラの重要性
pr_team コラムメールマガジンで配信したインターネットに関するコラムを、このブログでもご紹介しています。10月は、Internet Week 2020のプログラム委員をお務めいただいている株式会社QTnetの西田圭さんに、COVID-19の状況を通じて再認識することになった通信インフラの重要性についてお書きいただきました。
COVID-19は、人々の暮らしにさまざまな変化をもたらしています。例えば、テレワークや時差出勤などの働き方もその変化の一つであると思います。この変化について、日本のインターネットトラヒックの状況を基に見てみたいと思います。
総務省から2020年7月に発表されたインターネットトラヒックの集計結果(*)を見ると、固定系ブロードバンド契約者の2020年5月の総ダウンロードトラヒック(推定値)は前年同月比57.4%増の約19Tbps、総アップロードトラヒック(推定値)も前年同月比48.5%増の約2.3Gbpsであり、両方向とも増加しています。
毎年増加傾向にあるトラヒックですが、トラヒック量が大きい総ダウンロードトラヒックは、これまで年間20%程度の増加であったことから、今回は非常に大きな変化であったことが分かります。
これは、COVID-19の感染拡大防止のため、リモートワーク(テレワーク)が推進され在宅時間が増加したこと、ご自宅で動画などさまざまなコンテンツの視聴機会が増えたことなどが考えられます。私が勤務しているQTnetにおいても、平日日中帯のトラヒックやピークトラヒックの増加が見られました。
さて、このような前例のない急激なトラヒック増加があったのですが、日本全体を見た時に、大きな混乱があったかというと当社も含め、私の知る限りでは発生していません。これは、ISP・CDN・CSP等インターネットに関わる事業者のみなさんが、これまでの日々の経験を基に、その時にできる最大限の対応を行われた結果であると思っています。
ユーザーから見ると、スイッチを入れるといつでも電気が点灯するのと同じように、いつでもどこでも利用できるのがインターネットであり、これは都市であっても地方であっても場所によらず、なくてはならない重要な社会インフラとなっています。
インターネットを支える通信インフラは、Webやアプリケーションのようにユーザーの目に触れるものではありません。しかし、人と人とを繋ぐ大切な役割を担っているものだからこそ、ユーザーから見えなくとも安定したサービスを提供し続けることが必要であると、今回のCOVID-19で再認識をしました。
今後も変化は起こり続けると思います。その変化を受け入れ、自分に何ができるのかを考えていきたいと思っています。
最後に、11月に開催されるInternet Week 2020「わくわく大作戦」のプログラム委員としてお手伝いをさせていただいております。今回はオンラインでの開催となりますが、わくわくなプログラム満載です。ご期待ください。
Internet Week 2020
https://www.nic.ad.jp/iw2020/
(*) 我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban04_02000171.html
■筆者略歴
西田 圭(にしだ けい)
2000年、九州通信ネットワーク株式会社(現 株式会社QTnet)に入社。ISPサービスの構築から保守運用業務に従事。2020年4月から新規事業の企画業務に従事。
コミュニティー活動
・2014年に発足した地域NOG:QUNOG(九州沖縄ネットワーク・オペレーターズ・グループの運営お手伝い係を務める
・2015年よりJANOG実行委員を経験し、2018年から運営委員を務める