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【Internet Week 2020】技術だけでなく、インターネットと社会との関係も考えたい……台湾のデジタル担当大臣、オードリー・タン氏も登壇

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11月17日(火)に開幕するInternet Week2020の話題として、今回は、私たちが「社会派」と称しているセッションのご紹介をインタビュー形式でお届けします。JPNICのYouTubeチャンネルでビデオを公開していますが、そのビデオをお届けすると共に、ビデオの内容をインタビュー記事でまとめています。

注:ビデオ中、オードリー・タン氏を男性三人称で呼ぶ箇所がありますが、これは対談相手との当時を回顧した個人の関係性の中での発言のため、そのままにしています。


山賀:皆さん、こんにちは。Internet Week実行委員の山賀と申します。今回はInternet Week 2020のプログラムのうち社会派のセッションを紹介します。

Internet Weekは技術寄りのイメージをお持ちの方も多いと思いますし、実際にそのようなプログラムが多いのですが、その一方でInternetと社会の関係に焦点を当てたプログラムも毎年行われており、今年も三つのプログラムを用意しています。今回はそのうち、次の二つのプログラムについて紹介します。

実際にプログラムの詳細を紹介していただくのは、担当プログラム委員の林達也さん(株式会社イエラエセキュリティ/慶應義塾大学)です。林さん、今日はよろしくお願いします。

林:よろしくお願いします。

山賀:では早速ですが、まず今回ご紹介いただく二つのプログラム、具体的な紹介に入る前に、見どころをズバリ教えてください

林:見どころは、個人的に、二つあると考えています。

一つ目の見どころは、事前のプログラム概要をぜひご覧いただきたいのですが、「社会変容」の話をする点です。台湾のデジタル担当大臣であるオードリー・タンさんと、楠正憲さんにこのポイントでお話いただくのは、注目に値する点だと思っています。

もう一つ目の見どころは、まさに僕がこのInternet Weekのプログラム委員になりたいと思った点なんですが、この「社会派」と呼ばれるセッションがInternet Weekにはあるところです。「インターネット自体」というものを考えた場合に大事なポイントは、どのくらい「自由度」があるかということだと考えていまして、こういう議論ができるところが、今回の見どころであると個人的には思っています。

山賀:では具体的に二つのプログラムの内容をご紹介いただけますか?

林:11月26日(木)の朝10時から連続して、この二つのプログラムがあります。

COVID-19という、非常に大きな災禍に見舞われた中で、では、この災禍はインターネット自体やテクノロジーにはどういう影響を与えて、実際に社会はどう変容したのかということを考えたいと思っていたんですけれど、ある方から、オードリー・タンさんと楠さんの対談がみたいという強いリクエストがあり、「それは僕も見たい!」ということで、この二人の対談が事務局の山崎さんの協力もあって実現しました。

政策も含めて、社会全体とインターネット、テクノロジーが総合的に考えられる、非常に面白いセッションだと思います。

プラットフォーマーに対する議論がたくさんある中で、個人の自由とインターネット社会というポイントはずっとテーマになっています。特にここ数年、法律で制約をかける、国単位で規制する、はたまたインターネットが分断されるかもという話が多くある中で、しかし、プライバシーの話をする、ブロッキングの話をするという個別の場はあっても、こういった問題をインターネット全体というコンテクストで、きちんと話す場は実はあまりないと感じてます。そのため、Internet Weekは非常に貴重な場だととらえて、プログラムを作っています。

中身については、同時期にIETFやIGFがあったりするので、当日まで実際のディスカッションの中身はわからないところもあるのですが、少なくとも、議論や話の材料には困らない非常に面白いセッションになるのではないかと考えています。

山賀:ありがとうございます。聞いているだけで、非常に興味深い内容で、私も一観客としてわくわくしました。

かなり豪華な登壇者の顔ぶれで準備にもご苦労があったのではないかと思います。中でもオードリー・タンさんはどのような経緯で登壇されることになったのでしょうか?

林:オードリーはもともと有名人で、Perlハッカー、パグス(Pugs(Perl6の実装の一つ))を作ったときから、天才だと思って注目していましたが、デジタル大臣のような要職につく過程において、オードリー自身から直接話を聞ける機会は減っていました。

しかし最近、日本のことも大好きなオードリーの話が日本で聞ける機会が増えてきました。その中で、Internet Weekの中で、どんな話をしてもらおうか?、世の中で、政策の話や台湾での活動の話はいっぱいされていると感じていました。そういった政策や活動を日本において受け止められる対談相手としては楠さんしかいないと思いまして、セッションとしていこうと考えました。特にデジタル化していく社会の中で、プログラムを書いていた人、それで大臣になってしまうような人がインターネットというものをどうとらえるのかというポイントに焦点をあてられるように企画したところがあります。

実際登壇いただくにあたっては、JPNICの前村さんと山崎さんとに非常にご尽力いただきました。おかげでとてもいいセッションになりそうです。

山賀:今のお話をうかがって、ますます楽しみになりました。ところで、今年のInternet Weekのテーマは「わくわく大作戦」ですが、林さんにとって、ご紹介いただいたプログラムの特にわくわくできるところはどこでしょうか?

林:今は、社会が変わる機会だととらえています。もちろんCOVID-19自体は病気ですので、それ自体はポジティブなものではないのですが、この機会に私たちは変わることができる、そしてもしかしたらよりよく変わることができるかもしれない、そういう風に「社会が変わる」ということに関しては、やはりドキドキわくわくします。「インターネットができました!」という時と同じようなドキドキわくわく感があると感じています。「新しいことが始まる」ということに関する「わくわく大作戦」ですね。

山賀:なるほど、確かにそうですね!

ではここで視点を変えて、Internet Weekだからこそ提供できるものや、その魅力は何だと思われますか?

林:最近インターネットそのものについて、直球で話せる場所が国内で減ってきました。インターネットは空気や水のようなインフラになってしまいましたから。そういう環境の中で、技術との縛りなく、社会との関係性も語ることができる、法律の話も政策の話も、文化の話もあるかもしれないという枠がInternet Weekにあるのは、とてもいいことだと思います。

山賀:ありがとうございます。実行委員としてもうれしいコメントです。あらためまして、今回ご紹介いただいたプログラム、特にどんな方に聞いてもらいたいでしょうか

林:そうですね。こう言ってしまっていいのかわからないのですが、インターネット自体に親しみを持っている年齢が上がっていく中で、インターネットは社会で使われているわけなので、特に若い人たちには、そんな課題があるんだ、ということで持ち帰ってほしいなと思います。

山賀:そうですね。若い方たちにはこういうセッションを聞いてもらいたい気がしますね。最後に、動画をご覧になっている皆さんにメッセージをお願いします。

林:「社会派」とか場合によっては「政治」というと、つい敬遠するエンジニアは多いと思うのですが、インターネットが成立する要素として非常に重要な要素だと思いますし、内容も面白いと思いますので、食わず嫌いにならずに、聞いてもらえれば嬉しいです!

山賀:林さん、今日はありがとうございました。