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インターネットの技術的成功要因を探る – APNICとLACNICの共同プロジェクト

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アジア太平洋地域とラテンアメリカ・カリブ海地域の地域インターネットレジストリ(RIR)であるAPNICとLACNICが、合同でRFP(提案募集)を発表したのは2021年2月22日でした。複数RIRの共同提案募集というものは覚えている限りで過去に例がなく、それも興味を引くポイントですが、タイトルはそれ以上に興味深く、Request for Proposal: Study on the Internet’s Technical Success Factors (提案募集:インターネットの技術的成功要因に関する研究)というものです。

このRFPは、APNICのBlogエントリとして発表され、その文中のリンクとして、上に示したRFPドキュメントが含まれています。

APNIC Blog: What are the Internet’s technical success factors?

これは研究プロジェクトに関するRFPです。Blogエントリの冒頭第2段落の一節を和訳してみます。

有効なものとなるためには、インターネットの技術的特徴の評価は客観的でなければならないが、ユーザ、ベンダ、標準化団体、政府などによるインターネットに対する批判も賞賛も、しばしば観念論的なものが新たなプロトコルやネットワーク標準の代替提案の正当化を手助けしてきた。

RFPのほうには、「既存のIPの代替・アップグレード提案」として今までに存在したものの例として、New IP、DOA (Digital Object Architecture)、識別子管理へのブロックチェーン適用、IPv9/IPv10、5G、NGNなどが挙げられています。このようなものに対する批判が、既存のIPに対する観念論的な賞賛によってなされていないかという指摘は、うなずくところも多いと思います。

この研究プロジェクトでは、インターネットの成功要因の解明に対して、以下の6つの目標を設定しています。

  1. 異なる地理的、社会経済的コンテキストでの技術的な実装によってインターネットの実際の状態を記述
  2. 過去50年間のインターネットの成長と発展に貢献してきた主な技術要因を同定
  3. インターネットの標準とプロトコル、ならびにアーキテクチャ設計とシステム構造に関して、その成功との関連で評価
  4. 今日のインターネットを記述する、既存の統計分析、技術計測、データなど(例えばITHI (Identifier Technologies Health Indicators) 、ルーティングデータ、IPv6普及度など)の革新的・学際的解釈の提供
  5. 今日のインターネットにおいてこれらの技術的要因がどの程度存在しているか(あるいは不在か)を分析
  6. 長年にわたって成功してきた技術要因、その継続性を左右するリスクあるいは安定性への脅威の将来展望を行う

つまり、大原則や理想像でインターネットのあるべき姿を語るのではなく、実績と現状や客観指標から成功要因を求めていこうとしているようです。先行研究としてInternet SocietyのThe Internet Way of Networkingを挙げ、これにインターネットの現在の姿から客観的記述を積み上げて行くことをめざす、としています。

この研究プロジェクトは、本稿公開の前日に締め切りが延長され、2021年3月31日まで提案募集中で、半年程度で実施、2021年秋から成果を公表するという予定です。

RFPをご覧いただくと、APNICとLACNICの本プロジェクトに注ぎ込む熱意が伝わってくるようなので、ご一読いただければと思います。本件の動向を期待しながら見守ろうと思います。