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Gather&Talk インターネットホットトピックス2021を振り返って

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インターネット推進部の前村です。2021年8月30日(月)、13:00から17:15まで、DotAsia OrganisationとNetMission.Asiaが主催する「Gather&Talk インターネットホットトピックス2021」がオンラインで開催されました。JPNICはこのイベントをインターネットソサエティ日本支部(ISOC-JP)とともに後援すると同時に、私が企画のお手伝いをし、当日の運営にも一部関与しました。本稿では、このイベントを振り返ってみたいと思います。

Gather&Talk-Banner

まず、主催者をご紹介します。DotAsia Organisation (以下DotAsia)は、.asiaというgTLDのレジストリですが、そもそもgTLD登録管理事業の収益によってインターネット推進事業を行うことを目的に設立された、非営利団体です。特に若年層向けの能力開発には力を入れており、その中心となるのがNetMission.Asia です。

NetMission.Asiaは、DotAsiaが支援する若年層のボランティアグループで、選定されたメンバー、NetMissionアンバサダー達に対して継続的な研修の提供やインターネット関連イベントへの派遣を行いつつ、アンバサダー自身もイベント運営に関与するというものです。今回のイベントも、NetMIssionアンバサダーが、上に示したイベントのバナーをはじめとする広報マテリアルの制作、ワークショップ資料の準備を、DotAsia職員とともに担当し、当日はセッションの司会を行いました。

DotAsiaから声が掛かり、このイベントの開催に向けて相談をし始めたのは2021年1月でした。DotAsiaとNetMission.Asiaはこれまでに、2018年にInternet Governance Boost Campを神戸の078kobeイベントで、続いて2019年に開催されたICANN64神戸会議では、ICANN Jukuと称したワークショップを開催していますが、それ以降も日本の若年層に向けたアプローチを構想中でした。あいにく感染症禍の影響でオンサイトのイベントの開催は難しいのですが、裏返せばオンラインで小規模に行う上では好都合とも言え、今回実施に向けて検討することになりました。

企画にあたって大きな課題は二つありました。一つは、インターネットガバナンスというものに対する一般的な関心の低さです。IGCJやIGF関連イベントでも参加人数は2桁を数える程度であり、まして若年層となると参加者探索は手探りです。これに関しては、より若年層に近いISOC-JPが後援してくださったことや、若年層へ直接呼びかけることを行いました。もう一つは英語です。日本語の講師陣が日本語で解説するという方法もあるのですが、DotAsiaやNetMission.Asia側では十分に取り扱えないこと、また、地域レベル、グローバルレベルのインターネットガバナンス関連イベントでは英語が公用語であることから、日本語だけでイベントを実施するのではなく、部分的に日本語が使える部分を残して、全体としては英語でセッションを進めるという工夫を行いました。

Gather&Talk-Agenda

当日は、10名ほどの日本人の学生さんや社会人の方々がこのイベントに参加しました。開会の辞は2人から。1人はDotAsiaのCEOであるEdmon Chungさんが英語で、もう1人は、私同様このイベントの企画を一貫して支援した株式会社日本レジストリサービス(JPRS)の堀田博文さんが、日英二ヶ国語で行いました。

最初のパネルディスカッションはデータ主権に関してで、メルカリR4Dの小林茉莉子さんが日本の状況や標準化に関して、私も登壇しデータ主権に関する概観や留意点に関して、インターネットソサエティ(ISOC)のアジア地域責任者のRajnesh Singhさんがアジア一円における状況を、最後にAPrIGFのフェローであり、現在インドネシア政府に勤めるRilla G. Sumisraさんが、インドネシアで発生したBPJSの個人情報流出ケースを紹介し、意見交換を行いました。これ以外に、ワークショップのセッションではNetThing(豪州の国別IGF)からBrownwyn Mercerさんが講演を行い、自身が勤めたいくつかの会社における個人情報のコントロールの状況に関して解説しました。

漫画海賊版に関しては、ワークショップセッションでJAIPAの立石聡明さんが日本における現状を解説したあと、ブレイクアウトルームに分かれたグループ討議となりました。2回のブレイクアウトルームセッションを行い、1回目は英語と日本語に分けて、2回目は英語のみでの討議となりました。私は1回目の日本語の部屋で参加者の討議を聞いていました。事前に参考文献を提示され、講演も聞いた後とは言え、今日Zoom上で会ったばかりの他の参加者たちと不慣れなテーマの議論ということで、最初低調にスタートしましたが、自然と建設的な意見が見られるようになりました。

グループ討議の後は、インターネットガバナンスの概括に関するレクチャー、最後は、最近インターネット関連のカンファレンスでもよく使われる、Kahootを使ったクイズで、しばし和やかな時間を過ごしました。

今回のイベントは、限られた人数で、オンラインによる4時間ほどのプログラムということで、終日、時には複数日にわたるNetMissionのイベントとしては「体験版」といった感じですが、参加者の皆さんが少しでも、インターネットガバナンスの議論というものを感じ取ってくださって、今後の関連イベントやカンファレンスに興味を持っていただければ嬉しいところです。私自身としては、今回NetMissionのイベントの企画のお手伝いをしながら体験できたことは、良い経験になったと思います。若年層への啓発活動は、今後重要性を増す一方だと思いますので、今日の経験を活かしていければと思います。