JPNIC Blog JPNIC

IETF標準化報告 [第1弾] ~IETF 112より~

tech_team 

2021年は、新型コロナウィルスの影響下、IETFミーティングがオンラインで行われた年でした。オンライン開催のはじめの頃は、参加人数は1,000名近くにまで落ち込み、2年ほど前の1,500人よりも減った状態でした。しかし、徐々に増加しており、1,300名台にまで回復しています。

第112回IETFミーティング(IETF 112)の様子について報告する「IETF 112 報告会」が、2021年12月17日(金)にISOC-JPとJPNICの共催(後援:WIDEプロジェクト)で開催されました。順次資料が公開され、またYouTubeのJPNICチャンネルで録画を閲覧できるようになる予定ですので、ぜひご覧いただければと思います。

IETF 112の概要

IETF 112は、2021年11月、オンラインで開催されました。本来の開催地であるスペイン・マドリードのタイムゾーンで行われたため、WGのミーティングは日本時間の午後9時から次の日の午前3時の間に行われました。

表1 WGセッションの開始と終了の時刻 – 日中の勤務の後にWGセッションに参加する参加者も。
WGセッション開始 21:00
WGセッション終了 (+1) 3:00
sideミーティング等の終了 (+1) 4:00

IETF 112におけるホットトピックをお届けします。

アプライド・ネットワーク・リサーチ賞(ANRW)

アプライド・ネットワーク・リサーチ賞(Applied Networking Research Prize)は、IETFやIRTFの参加者による技術適用や応用に関わる研究に対して一年に一度ノミネート、選考され、優れたものを表彰する活動です。

受賞者には1,000米ドルが送られるほか、IRTFオープンミーティングで講演を行うことができ、IETFミーティングへの参加にかかる費用が支弁され、IETF全体会合(Plenary)で表彰されるなどします。

2021年の受賞者はIETF 111から発表されており、今回はその続きで以下三つの研究が発表されました。

  • xBGP: IETFやベンダーを待てないとき(xBGP: When You Can’t Wait for the IETF and Vendors)
    著者:Thomas Wirtgen, Quentin De Coninck, Randy Bush, Laurent Vanbever, and Olivier Bonaventure
  • 現代のWebサービスにおけるサードパーティ・サービスへの依存の分析: 私たちはMirai-Dynのインシデントから学んでいるか?(Analyzing Third Party Service Dependencies in Modern Web Services: Have We Learned from the Mirai-Dyn Incident?)
    著者:Aqsa Kashaf, Vyas Sekar, and Yuvraj Agarwal
  • ありのままの自分で来て: 変更されていないクライアントのアクセスをサーバ側で検閲から回避する(Come as You Are: Helping Unmodified Clients Bypass Censorship with Server-side Evasion)
    著者:Kevin Bock, George Hughey, Louis-Henri Merino, Tania Arya, Daniel Liscinsky, Regina Pogosian, and Dave Levin

これらの講演の動画をANRWのページの「Past Prize Winners」で見ることができます。

HotRFC

IETF 112では、しばらく休止していたHotRFCが行われました。HotRFCはRequest for Conversation/対話のリクエストの略で、IETFにおける活動紹介などが行われるセッションです。今回はこれまでのようにライトニングトーク形式ではなく、ゲーム画面中を移動して展示を見たり複数の参加者とビデオ通話をしたりできるサービス「Gather」を使ったセッションになりました。

Gather.townを使ったHotRFCの様子
参加者はブースに近づいて、ライトニングトーク動画を視聴するようになっている。
Gather.townの中にはスピーカーのブースが設置されている(右中央のマップ)。
現地でのHotRFCと違い、参加者同士のディスカッションもできていた。

HotRFCで照会された活動の一覧は「HotRFC Agenda」で閲覧できます。またGatherの中で流されたプレゼンテーション動画はYouTubeのプレイリスト「IETF 112:HotRFCs」で閲覧することができます。

IETF112で行われたBoF

IETF 112では一つのBoFが開かれました。

  • priv(プライバシーに配慮した値の組み込み / Privacy Respecting Incorporation of Values)
    Webブラウザがユーザーの個人を識別しないものの、適切にレンダリングできないサイトの情報を収集したり、公的機関が個人を特定せずにユーザーが特定の病気であることを調べたりするといったことに関する、仕組みの議論を扱うBoFです。WG設立を目指しています。
    人口統計や医療といったパブリックな調査を行う時に、プライバシーに配慮するために、Prioといった暗号技術を使って値を集約して傾向を調べるような仕組みが提案されています。詳しくは「Privacy-Preserving Measurement」をご覧ください。

日本からの参加者数の低迷

ここ5、6年ほどで、日本からの参加者数が60名弱に減ってきています。

5,6年ほど前から日本からの参加者数は減少しており現在は60名弱で低迷している。
グラフ1 5,6年ほど前から日本からの参加者数は減少しており現在は60名弱で低迷している。

この影響からか、WGの中には日本からの参加者がおらず、そのWGでの活動がなかったり、国内で情勢を伝えてくださる方がいなかったりする様子があります。

JPNICではより多くの、もしくは多様な人に国際的な標準化活動に目を向けていただけるように、各種勉強会や報告会(ISOC-JPと共催)を開催しています。今後も企画してまいりますので、ぜひご参加いただければと思います。

次回の第113回IETFミーティング

次回の第113回IETFミーティングは、2022年3月19日(土)から25日(金)にオーストリア・ウィーンで行われる予定になっています。ハイブリッドでの開催となります。