JPNICトークラウンジのご紹介 ~次回はインターネットアーキテクチャの進化と未来について~
event_team JPNICからのお知らせ JPNICのイベントJPNICでは近年、情報提供・普及啓発強化の一環として、YouTubeチャンネルを通じた動画コンテンツの提供に力を入れています。
JPNICのYouTubeチャンネルでは、JPNICが開催したイベントのアーカイブ公開を始め、「インターネットとは~インターネットのつながる仕組みから知っておいていただきたい事~」と題した、YouTubeチャンネルのために準備した初心者向けコンテンツや、Internet Weekのプログラム委員会が制作した、基礎的内容の常設化を狙った「Internet Week Basicオンデマンド」など、さまざまなコンテンツがありますが、今回はその中から、2021年6月に提供を開始した、JPNICトークラウンジをご紹介します。
JPNICトークラウンジは毎回、インターネットの第一線で活躍中の方をゲストに迎え、インターネットとその未来についてお話をうかがう対談シリーズです。教育的なお話が多いJPNIC YouTubeチャンネルのコンテンツの中では、少し異質だと思われるかもしれません。もちろん、正しい技術的な知識がインターネットの運用に対して重要であることは言うまでもありませんが、インターネットコミュニティの互助的な性質や、ネットワーク基盤や運営機構の進化に対して関係者の関与の影響が大きいことなど、インターネットは「人」なしには語れないと思います。そういうわけで、「人」に焦点を当てる対談シリーズを作ることにしました。このブログ記事執筆までに、4組のゲストにお話をうかがいましたが、ここでそれぞれを振り返ってみます。
記念すべき第1回は、JPNICの初代理事長であり、現在は顧問でもある、慶應義塾大学教授の村井純さんです。2021年6月14日に、オンライン開催となったJPNIC総会の講演会を兼ねて配信しました。押しも押されぬインターネットの第一人者である村井さんですが、学生時代はコンピューターが嫌いだったそうです。その理由は、「コンピュータ中心であって人間中心でない」からだったとのこと。これを、コンピュータが人の周りにあって、相互に接続されて人の役に立つ、という形に変えるというビジョンを描いたそうですが、これに迷いはなかったとのこと。Vint CerfとInternet is for everyone というスローガンを考え付いたときに、まだまだインターネット普及率は数パーセント程度。現在でこそこのスローガンは現実味をもっていますが、夢のようなビジョンにワクワクしながら挑戦した村井さんの語り口は、終始朗らかなものでした。
第2回は2021年7月27日にお届けした、松崎吉伸さん・奥谷泉さんご夫婦です。松崎さんはネットワークエンジニアとして、奥谷さんはインターネットポリシー専門家として、日本からグローバルに非常に名前が知られており、誰からも慕われています。内容を聞くと、国際会議で仕事をし、いろいろな国の人たちと一緒に仕事をするということの大変さ、楽しさ、勘所などがとてもよく伝わってきます。現在は違う業界で仕事をする奥谷さんは、JPNIC在職時代を振り返り、あらためてインターネット業界の互助精神や透明性の高さを実感したとのこと。最後の私生活を語るパートでは仲睦まじい様子も見られ、微笑ましいトークラウンジとなりました。
第3回はAPNIC事務局長のPaul Wilsonさんでした。あらかじめ収録を済ませ、和訳字幕を付しての配信を、2021年9月28日に実施しました。5つの地域インターネットレジストリ(RIR)の中で最も在職期間の長いCEOであるWilsonさんですが、オーストラリア初の商用ISPである、ペガサスネットワークが、APNICに移る前の仕事。通信技術やコンピュータに関心が高かっただけでなく、世界中の人々をいかにつなげるかということに一貫して関心があるようで、それが仕事の原動力になっているようです。現在に至るまでのインターネットの資源管理スキームの発展の流れを振り返り、今後のインターネットの行く末を展望する、スケールの大きい対談になりました。
第4回は、2021年11月2日に配信した、松本智さんです。若いネットワークエンジニアのコミュニティであるWAKAMONOGを立ち上げたり、近年はInternet Weekのプログラム委員長としてご活躍の松本さん。コミュニティ活動への熱心さや基盤技術に対する高い知見に目を見張りますが、VRのようなヒューマンインターフェースの拡張など、利用技術を含めたインターネットの進化にも高い興味をお持ちです。進化を支える基盤技術が重要だという松本さんのとらえ方が、とても印象的でした。また、今後のInternet Weekに対する確固としたビジョンもうかがいました。
本記事執筆にあたり、今一度対談の模様を見返しましたが、どれも魅力的なお話ばかりで、聞き入ってしまいました。もしご覧になっていなかったらぜひ一度、そしてご覧になった方も今一度、ご覧になってはいかがでしょうか。
次回のJPNICトークラウンジ第5回は、2022年2月1日(火)17時から、シスコシステムズの業務執行役員である河野美也さんを迎えて、『河野美也さんに聞く、インターネットアーキテクチャの進化と未来』と題してお届けします。ルーティングシステムのアーキテクトとして長年ご活躍の河野さんが、インターネットの未来をどう語るのか、今から楽しみです。ぜひ、登録の上、ライブで参加してください。
JPNICトークラウンジは、これからもいろいろな第一人者にお話をうかがいます。どうぞご期待ください。