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RIPE 85でのIPアドレス・AS番号分配ポリシーに関する提案ご紹介

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2022年10月24日(月)~28日(金)の日程で、RIPE 85ミーティング(RIPE 85)が開催されます。RIPE NCC (Reseaux IP Europeens Network Coordination Centre)は、世界に五つある地域インターネットレジストリ(RIR; Regional Internet Registry)のうち、ヨーロッパおよび中東地域を担当するRIRです。

前回RIPE 84ミーティングからオンサイト会場が復活となりました。今回は、セルビアの首都ベオグラードでの開催となっています。

RIPE 85 Webサイト

APNIC (Asia Pacific Network Information Centre)地域と同様に、RIPE NCC地域においても、IPアドレス・AS番号の分配ポリシーに関する議論は、メーリングリストのほか、オフラインミーティングの場でも行われます。

●ミーティングプラン

RIPE NCCのポリシー提案の進行状況は、Webサイトで確認できます。今回のRIPE 85で議論が行われるポリシー提案は1件です。

2022-02:Remove mandatory IPv4 PA assignment registration in the RIPE Database

前回のRIPE 84の際に、PDPプロセスに入る前に、コミュニティの意見を聞きたいとして議論が行われたトピックが、今回ポリシー提案されました。

IPアドレスの割り当てを行った場合、データベースへの登録を行う(JPNICで言う”割り当て報告申請を行う”)のは、義務となっています。この割り当て報告を行う意図は、IPアドレスの使用率に加算し、追加割り振りを受ける際の基準を満たすためであったと提案者は考え、IPv4アドレスが枯渇し、追加割り振りを受けることがほとんどなくなってしまった今、割り当て報告は義務ではなく、任意(推奨)にレベルを落としてもよいのではないかというのが本提案です。

前回RIPE 84の際には、割り当てのうち、自身に割り当てを行ういわゆるインフラ割り当てのみを対象に任意登録にレベルを落とそうという話でしたが、現行の最新版ではすべての割り当てに関してレベルを任意に落とし、LIRからエンドユーザーや他のLIRへの割り当てについては、データベースへの登録を強く推奨する、という形に文言を変更しています。提案者は、一部のLIRが必要以上に細かく割り当て登録を行う一方で、RIPEデータベース要件タスクフォース(RIPE DB Requirements TF recommendations)の調査によると、9,986のLIR/16,232のPAアドレスで、割り当て登録がない状態になっている言われています。これらの不整合性を解消するとともに、すべて任意にすることでRIPE・LIRの人的・経済的リソース消費を削減できると提案者は述べています。また、不要なデータを公開DB上に残さないことで、各種リスクの軽減にもつながると考えているようです。

メーリングリストでは、反対のコメントが多いように見られました。割り当て情報はAbuse対応において重要な情報であり、任意ではなく義務であるべき等の意見が見られました。中にはなぜデータベースの名称が「WHOIS」なのか、「WHATIS」や「WHEREIS」ではなかったのかを考えれば、割り当ての意義を思い出せるかもしれないといったコメントも見られました。データベースへの登録は、「裁量」ではなく「義務」として残すべきであると考えている人の方が多いようです。中には、前回のディスカッションであったようなインフラ割り当てのみを任意登録にする可能性はあると考えている人も一部いるようです。他のRIRへの影響も気になる、注目のポリシー提案となりそうです。

 


RIPEミーティングでは終了後アーカイブ・資料等の公開を行っています。今回の提案はRIPE地域のみならず、APNICや我々のデータベースの在り方を変える可能性があります。ぜひチェックしてみてください。

JPNICブログでは引き続きRIRのIPアドレスポリシー関連の話題をお知らせしていきます。その他の記事もぜひお読みください。

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