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ARIN 52でのIPアドレス・AS番号分配ポリシーに関する提案ご紹介

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2023年10月19日(木)・20日(金)の2日間、米国・カリフォルニア州サンディエゴにおいて、ARIN 52ミーティングが開催されます。ARIN (American Registry for Internet Numbers)は、北米とカリブ海周辺の一部地域を受け持つ地域インターネットレジストリ(RIR; Regional Internet Registry)の一つです。秋のARINミーティングは通常、NANOG (The North American Network Operators Group)ミーティングに引き続いて開催されます。今回は2023年10月15日(日)~18日(水)の日程でNANOG 89ミーティングが開催され、そのあとARIN 52ミーティングが開催されます。

ARIN 52 Webサイト

APNIC (Asia Pacific Network Information Centre)地域と同様に、ARIN地域においても、IPアドレス・AS番号の分配ポリシーに関する議論は、メーリングリストのほか、オフラインミーティングの場でも行われます。

ARINにおけるポリシー策定プロセスの詳細については、ARIN 37に関するJPNIC Blog記事でご紹介していますので、そちらをご覧ください。

今回のARIN 52ミーティングで議論される予定の提案は、以下に抜粋した8件となっています。提案内容などの詳細は、タイトルに張られたリンクから確認することができますので、ぜひ一度ご覧ください。ポリシー提案に関する詳細な情報は、ARINのWebページにも掲載されています。

●議論中の提案:8件

  1. ARIN-2022-12:Direct Assignment Language Update(「直接の割り当て」の用語見直し)
  2. ARIN-2023-1:Retire 4.2.1.4. Slow Start(「スロースタート」の記述削除)
  3. ARIN-2023-2:/26 initial IPv4 allocation for IXPs(インターネットエクスチェンジポイントへの/26のIPv4アドレス割り当て)
  4. ARIN-2023-3:Amendment of the waitlist agreement to include a restriction on leasing(待機者リストからの分配アドレスに関する制限の修正)
  5. ARIN-2023-4:Modernization of Registration Requirements(データベース登録要件の最新化)
  6. ARIN-2023-5:Clean-up of NRPM Sections 4.3.4, 4.4, 4.10 and 6.10.1(ポリシーマニュアルの記述簡素化)
  7. ARIN-2023-6:ARIN Waitlist Qualification(待機者リストへの掲載資格の明確化)
  8. ARIN-2023-7:Clarification of NRPM Sections 4.5 and 6.11 Multiple Discrete Networks and the addition of new Section 2.18 Organizational Identifier (Org ID)(独立した複数のネットワークへのIPアドレス追加時の条件明確化と、組織識別子に関する項目の追加)

ARIN地域でのIPアドレス・AS番号の分配ルールは、NRPM (Number Resource Policy Manual)としてまとめられています。今回のARIN 52ミーティングで議論される予定の内容は、実際の運用にあわせてNRPMを修正する提案が多く、新たなルールを策定するものはほとんどありません。

ARINでは、希望者にプリントアウトされたNRPMが配布されます。議論の最中には、配布された冊子を手元に用意して、内容を参照しながらマイクの前で質問に立つ参加者も多くいます。記述内容を実態に合わせる提案、精緻に修正する提案が多いのは、ARIN管轄地域のお国柄が色濃く反映されているのかもしれません。

注目の議論は「ARIN-2023-2:/26 initial IPv4 allocation for IXPs (インターネットエクスチェンジポイントへの/26のIPv4アドレス割り当て)」です。9月に開催されたAPNIC 56ミーティングにおいても「prop-154: Resizing of IPv4 assignment for the IXPs(IXP向け割り当てアドレスサイズの変更)」として議論されたものと同一の内容で議論が行われます。

メーリングリストでは、意見を述べている方のほとんどが反対の意思表明をしています。/26を割り当てることの意義を問う意見や、リナンバリングの大変さなどが主な論点となっているようです。また、提案への対案も議論されていますが、議論がどの方向に向かうかはまだ定まっていないようです。

インターネットエクスチェンジポイントへの割り当てサイズについては、ヨーロッパおよび中東地域を担当するRIPE NCC (Reseaux IP Europeens Network Coordination Centre)地域でのポリシー提案がコンセンサスとなったことから、同様の議論がAPNICおよびARIN地域でも行われているものです。APNIC地域では継続議論となりましたが、ARIN地域での議論によっては、APNIC地域での議論が再燃する可能性もあり、動向を注視しています。

(ARINのFacebookページより)

画像は、2022年5月に米国・テネシー州ナッシュビルで開催されたARIN 49ミーティングの様子です。

ミーティング期間中は中継が行われる予定ですので、ご興味を持たれた方はリモートで参加してみてはいかがでしょうか。メーリングリストには、オンライン上での議論の内容やARIN ACによる検討の結果がアーカイブされています。ARINのWebページには、ミーティング当日の発表資料、映像や発言録などが公開され、これらを活用すれば、議論を振り返ることが可能な環境が提供されています。また、今回はARINでの提案をご紹介しましたが、JPNIC、APNICのポリシーフォーラムで議論をしてみたいと思う提案がありましたら、ぜひお聞かせください。

2023年11月29日(水)に開催予定の、第45回JPNICオープンポリシーミーティングでも、ARIN 52ミーティングの模様をご紹介する予定です。日本にいながらARINミーティングの状況を把握できるよい機会ですので、こちらもあわせて参加をご検討いただければと思います。

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