次世代育成NOC (NeGI NOC)の取り組み ~地域NOGでのイベントネットワーク構築~
event_team JPNICからのお知らせ本稿では2026年5月15日に発行されたJPNIC News&Viewsの特集記事「次世代育成NOC(NeGI NOC)の取り組み」について再掲します。
今回はNeGI NOCの概要と、イベントNW構築の舞台裏について紹介いたします。
■ NeGI NOCとは?
2025年12月、JPNICではNeGI NOCという新たなNOC活動が始まりました。NeGI NOCとは「Next Generation Ikusei Network Operations’ Center (次世代育成NOC)」の略称で、総務省「ネットワークエンジニアリング業界における人材確保・育成に関する調査研究」の一環として誕生した取り組みです。
次世代育成のためのイベント NOC 構築
https://www.nic.ad.jp/ja/tech/negi-noc.html
NeGI NOCはイベントネットワーク(NW)を構築するだけではなく、NOC活動を通じて次世代を担うネットワークエンジニアが技術を学んだり、仲間や業界とのつながりを深めたりすることも目的としています。コンセプトは「実機に触れる」「試行錯誤とトラブルシューティングから学ぶ」「世代を超えた協働」です。本番環境を実際に構築するからこそ、机上では学べないトラブルや判断が次々と発生します。そして、それをチームで協力して解決する。NeGI NOCでは、そうしたリアルな現場経験そのものを学ぶ機会を大切にしています。
■ 二つの地域NOGでNW構築
NeGI NOCは、これまで二つの地域NOGで活動しました。
2026年2月に名古屋市で開催された「ChuNOG7」、そして翌3月に山口市で開催された「3SNOG3」です。
いずれも公募を行い、その地域の学生や若手社会人を中心にメンバーが集まりました。活動期間はどちらも実質1ヶ月半ほどと短期間ではありましたが、その中でも初対面のメンバー同士が協力しながら、独立した会場ネットワークを構築・提供しました。
活動は主に四つのチームに分かれて進行しました。
- L2/L3(バックボーン)チームは、BGPによる外部接続やL2/L3スイッチ(SW)のVLAN/ファイアウォール設定 など、ネットワーク全体の論理設計を担当しました。
- Serverチームは、Docker環境上でDNS/DHCPやGrafana、Prometheusなどを構築し、サービス基盤や監視を提供。
- APチームは、Merakiを利用した無線環境の最適化を行い、快適なWi-Fi体験を支えました。
- Cableチームは、配線設計やUTPケーブル作成、現地敷設など物理層を担当しました。
また、各チームのリーダーも公募メンバーの中から選出しました。単に技術を学ぶだけではなく、リーダーとしてチームをまとめる経験も体験してもらいたかったからです。チームに分かれて主体的に事前準備を進めていただきました。
■ 準備や当日の舞台裏
開催の約2週間前には、「ホットステージ」と呼ばれる事前検証も実施しました。しかし、実際の会場環境での最終確認は、設営日当日の一発勝負となりました。そのため、現地では想定外の問題がいくつか発生し、メンバーたちはトラブルシューティングに追われました。
例えば、ChuNOG7では、想定していたWireGuardが、環境の影響で正常に利用できない事態が発生し、急遽OpenVPNへ切り替えるという構成変更を実施しました。
一方、3SNOG3でもDHCPやWireGuardの設定に苦戦しました。会場の閉館時間までに作業が終わらない状況になりましたが、急遽Tailscaleを準備し、会場から出た後もリモート作業を継続しました。設定変更やトラブルシューティングを続け、最終的には無事にネットワーク提供を完了させました。こうした経験は、メンバーにとって非常に大きな学びとなったようです。
当日の詳しい構成や様子は発表資料に掲載していますので、ぜひご覧ください。
ChuNOG7の会場ネットワークと舞台裏
https://www.nic.ad.jp/ja/tech/negi-noc-media/ChuNOG7.pdf
3SNOG3の会場ネットワークとその舞台裏
https://www.nic.ad.jp/ja/tech/negi-noc-media/3SNOG3.pdf
■ 地域NOGでのNW構築を終えて
NOCメンバーへの事後アンケートでは、「実環境ならではのトラブルシューティングを経験できた」「BGPやL2/L3設計を実践的に学べた」「普段触れないOSや機器を扱えた」といった声が多く寄せられました。また、「ベテランエンジニアの設計思想を学べた」「地域NOGならではの距離感が良かった」という感想もあり、技術面だけでなくコミュニティとしての価値も感じてもらえたようです。
一方で、「ホットステージの日程共有をもっと早くしてほしい」「役割分担をより明確にしてほしい」といった改善点も見えてきました。運営側としても反省点は多く、今後さらに良い形へブラッシュアップしていければと思います。
今後もNeGI NOCは活動していきます。次回は、2026年6月30日から7月1日に静岡市で開催される「Internet Week Showcase in 静岡」にて実施予定です。
“実際に作って、失敗して、直す”。その経験の中には、座学だけでは得られない経験と成長があると思います。これからも、次世代のネットワークエンジニアたちが挑戦、成長できる場を作り続けていければと思います。






