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IETFでホットな話題と様子 – “IETF情報交換会 – IETF 126に向けて -“を開催

KimuraTaiji 
 
2026年6月3日(水)、JPNICはInternet Society日本支部(ISOC-JP)との共催、WIDEプロジェクトの後援により「IETF情報交換会 – IETF 126に向けて -」を開催しました。IETF情報交換会は過去に開催されてきた「IETF報告会」に代わって、複数回のIETF会合をまたいで見える技術動向やホットトピックの背景部分に注目した情報交換の会合です。
 

 
今回のIETF情報交換会は、JPNIC会議室とオンラインのハイブリッド開催を予定していましたが、台風の影響によりオンラインのみの開催へ変更しました。結果的に多くの方がご参加されました。今回もIETF参加者を中心に、最新の技術動向や今後注目されるテーマについて情報共有・意見交換が行われました。
 
IETF(Internet Engineering Task Force)は、インターネットで利用されるプロトコルや技術仕様を議論・標準化する国際的なコミュニティです。JPNICでは、国際的な技術動向を国内における事業や研究・開発・運用にお役立ていただくべく、IETF会合への参加についてだけでなく、国内で国際動向を共有する場づくりに取り組んでいます。今回は、IETF 125(中国・深圳)で議論された話題を振り返るとともに、7月開催の IETF 126(オーストリア・ウィーン)に向けて注目されるテーマについて情報交換を行いました。
 

〇 IETFへの関わり方のステップを考える

はじめに、司会進行を担当した筆者から、今回のIETF情報交換会で登壇者に、ご発表後のに伺うテーマを紹介しました。テーマは「IETFへの関わり方のステップを考える」です。昨今、インターネット分野において人材確保や育成の話題がある中、IETFへの関わり方についてどう捉えるのか、これから関わる人はどのような”ステップ”を想定していけばいいのかについて、筆者なりに整理してみたものです(下図)。
 

IETFへの関わりのステップ

 
ご参加の方の多くは、ご自身の活動がありながら、IETFにおける関与の仕方について道なき道を切り開くようなご経験をされている中、IETFにおける活動の全体像や区分を捉えたり、立ち位置のヒントが得られたりすることがねらいです。当日は、これらの背景となる課題意識を共有した上でお考えを伺うことができました。

技術動向

登壇者の方々の注目されている最新動向について紹介されました。
 

〇 Web技術:AIエージェントと認証/認可

ISOC-JP インターネット標準化推進委員会で活動する後藤ひろゆき氏からは、「猫も杓子もIETFもAI」という言葉の通り、IETFでもAI関連の提案が急増している様子が共有されました。特に注目されるのは、AIエージェントによる決済や予約を可能にするための認証や認可の枠組みや、Webサイト側がAIの学習を制御するための仕組みです。Web Bot Authと呼ばれる、Webサービス等にアクセスしてくるボットを識別・検証する仕組みの提案など、AI時代における”信頼性”を担保する技術の議論が活発です。
 

〇 ルーティング・セキュリティ

JPNICの大谷亘からは、IETF125のセッション「Technology Deep Dive」で取り上げられたルーティング・セキュリティが紹介されました。BGP(Border Gateway Protocol)は、隣接ルータから伝わる情報 – 経路情報という、いわば”噂”に基づいてインターネットの経路制御が成り立っています。現在は、RPKIを用いた経路のオリジン検証(ROV)など、噂のような”完璧ではないもの”に対する現時点で実現可能な不正への対策を、段階的に導入するというアプローチが主流となっています。これは、30年前から始まって、新しい世代へと引き継がれる「多世代プロジェクト」と言えるという中長期的なお話がTechnology Deep Diveの講演にあったそうです。
 

〇 暗号技術とIETF Hackathon

IETF Hackathonに継続的に参加されている酒見由美氏から、暗号分野の技術動向と、Hackachonの様子が紹介されました。暗号分野では、耐量子暗号(PQC)の導入が前提となりつつある中で、ゼロ知識証明(ZK: Zero-Knowledge Proof)、完全準同型暗号(FHE: Fully Homomorphic Encryption)、AIとエンドツーエンド暗号化(E2EE: End-to-End Encryption)の関係など、新たなテーマへ議論の中心が移っていることが紹介されました。また、Hackathonについても、標準仕様を実装・検証する場として、多くの開発者が協力しながら実装を進めるIETFならではの文化が紹介されました。
 

〇 PQCと移行

伊藤忠彦氏からは、耐量子暗号(PQC)の標準化状況と、実際の移行に向けた課題について紹介がありました。暗号アルゴリズムそのものだけでなく、既存システムとの共存や段階的な移行、実運用において考慮すべき点など、今後多くの組織が向き合う課題について議論が行われています。

ディスカッション

今回のIETF情報交換会では、各講演者の方に、ご発表の後、予め候補となるテーマから選んでお話を伺うという形式にしました。注目されている分野の技術的なお話だけでなく、日頃感じられていることやお考えを伺っていくことができました。
 
テーマの候補と選ばれた方:
  • I-DやRFCの興味深いものを追いかけることの面白さ(後藤氏)
  • 現在のようにIETFに関わることになったきっかけ(大谷・酒見氏・伊藤氏)
  • ハッカソンの良さ(酒見氏)
  • 人とのつながりの大事さ
  • 知っておきたいことやノウハウ、そのためにできること
 
新しいものが現れる最前線に触れられることのわくわく感や国際的なトップエンジニアの課題解決の様子が見られるという魅力の他、これまでのIETFに関わるきっかけや実体験について話される中、オンラインながら和やかな雰囲気であったのが印象的でした。
 

〇 本会合の資料

JPNIC Web IETF 情報交換会 – IETF 126に向けて –でご覧いただけます。
 

〇 IETF 126に向けて

次回のIETF 126は、2026年7月18日から24日にかけてオーストリア・ウィーンで開催されます。JPNICでも現地参加を予定しており、インターネット技術の最新動向や標準化の議論を継続して調査し、お役立ていただけるように情報発信をしていきます。また、IETF情報交換会も、IETF会合への参加に関わらず、異なる分野の技術者が共通のテーマで議論できたり、IETF参加経験の共有が次の参加者へのきっかけになるような場として、今後も継続して開催していきます。皆様からのご意見やコメントをお待ちしております。

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