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News & Views コラム:クラウドとネットワークとエンジニア

投稿者 pr_team on 2018年5月2日

最近、私の周りでは、自宅でサーバやネットワーク装置を運用していたエンジニアが次々と自宅での運用をやめて、クラウドサービスを利用するようになってきました。話を聞くと、クラウドサービスの発達によって自宅に装置を置かなくても、やりたいことができるところが大きいようです。

確かに、API (Application Programming Interface)を叩いたり、Webブラウザから操作したりするだけで、インスタンスを簡単に立ち上げられ、すぐに使えて便利であることは間違いありません。Webサービスやサーバだけでなく、ネットワークの仮想アプライアンスをクラウド上でディプロイすることで、学習やテストを行う仮想的なネットワークのラボを作ることも、気軽にできるようになりました。実際に、CONBU (COnference Network BUilders)という団体では、クラウドサービス上に立ち上げた仮想アプライアンスを使って、利用者が1,000人を超えるネットワークサービスの提供も行っていて、実用に十分に耐えるものでした。

クラウドが一般的に使われるようになってから、それらを使ってサービスを作っていても、実際のサーバやネットワーク装置などを見たことがない、という話を聞くことがあります。低いレイヤーを考えなくてもよく、効率的な開発ができるようになったという良い面がある一方で、私は少し寂しく思います。それは、他のレイヤーを見たり触ったりする機会が少なく、ネットワークに対して興味を持ってもらうことが、少なくなるように感じるからです。

いくらクラウドサービスが発達しても、クラウド事業者や通信事業者は、装置や回線などの物理の世界から、離れることはできません。そのような分野に興味を持つ人が減っていった時、数年や数十年先にどのようになるのか分かりませんが、今よりもレイヤーごとの溝が深まってしまうように思います。

今、インターネット上で起きている問題に対して、特定のレイヤーだけで解決できないことも数多くあります。今後のインターネットをより良いものにしていくためにも、インターネットの利用者全員が、手を取り合っていけるようになるべきだと考えます。まずは技術者が、レイヤーで仕切ることなどがないように、特に若い世代の技術者などでは、広い範囲で興味を広げていけるような環境で、今後もあり続けることを望みます。そのためにも、私たちは今まで以上に興味を持ってもらうために、何ができるのか考えるべきなのかもしれません。




■著者略歴

高橋 祐也(たかはし ゆうや)

2013年にNTTコミュニケーションズ株式会社に入社。2017年7月まで、法人向けVPNサービスの設計・開発業務に従事。その後、インターネットマルチフィード株式会社に出向しインターネットエクスチェンジ(IX)のJPNAP担当となる。
本務の傍ら、JANOG (Japan network Operators Group)の実行委員やCONBU (COnference Network BUilders)Internet Weekのプログラム委員などのコミュニティ活動にも携わる。