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急ピッチで進むIPv6対応に必要な知識をお届け ~第5回 IW2016注目プログラム紹介~

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Internet Weekのセッション紹介です。担当は本イベントの実行委員を務めている法林浩之(日本UNIXユーザ会)です。

今回ご紹介するのは、2016年11月29日(火)に行われるIPv6関連のチュートリアル、「IPv6テクニカルtips ~安定したネットワークを目指して~」「IPv6によるIPv4仮想化のススメ」の2本です。担当プログラム委員の中川あきら氏(IPv6普及・高度化推進協議会(v6pc)/ポリシーワーキンググループ/日本ネットワークイネイブラー株式会社(JPNE))に話をうかがいました。


法林: IPv6関連プログラムは毎年実施していますが、ズバリ、今年のIPv6界隈のホットな話題は何ですか?

中川: 一つは、NGNのIPv6普及率が約20%にまで達したことですね。なんだまだ2割かと思われるかもしれませんが、これってユーザー数に換算すると3百万人を軽く超えるんです。どう見ても少数ではないですよね。

法林: そうですね。しかもこれで頭打ちになるとも思えませんし。

中川: そうなんです。これだけユーザーが増えてくると、以前にも増してIPv6にまつわるトラブルへの対応やIPv6のセキュリティについて、本気で対応する体制が必要です。「IPv6で攻撃しても効果が小さいから、攻撃者もあまり狙ってこないだろう」とか、そういう時代は終わったと言えるかもしれませんね。

法林: なるほど。このあたりの話題を最初のプログラム「IPv6テクニカルtips」で紹介されるんですね。では、もう一つのプログラムでテーマになっている、IPv6によるIPv4仮想化は、どのあたりがホットなんですか?

中川: こちらは、アップル社がIPv6しかないネットワーク環境でiOSアプリが動作するのを必須にしたことで話題になりました。このアップル社からのような要求への解決策として、ネットワークはIPv6で構築し、IPv4はその上の仮想ネットワークとして実装する方法が注目されています。クラウドの世界でIaaSとかPaaSといった言葉がありますが、それになぞらえて「IPv4aaS」と呼ばれています。

法林: わかりました。では、そんな話題を踏まえて編成された二つのプログラムの特徴を教えてください。

中川: 「IPv6テクニカルtips」は、昨年実施した「IPv6セキュリティ再点検」「現場で使える! IPv6トラブルシューティング」の内容の良いところを取り入れて1コマにした、効率良く学べるセッションです。一方、「IPv6によるIPv4仮想化のススメ」は、IPv4aaSを実現する技術や導入事例に加えて、IPv6のみの環境でアプリケーションの動作検証を行うためのネットワーク構築方法なども解説します。

法林: ありがとうございます。ところで、IPv6関連のプログラムって参加者がどれぐらい固定化しているのかわかりませんが、今年はどんな人達に参加してもらいたいですか?

中川: 先ほどお伝えしたように、もはやIPv6は一部のユーザーだけのものではなくなっているので、そういう意味では設計・構築・運用と、さまざまな部門の方に受講していただきたいですね。IPv4aaSにしても、一見ネットワーク事業者向けの話だと思われるかもしれませんが、これも先ほどお伝えした内容でおわかりのように、アプリケーションやサーバ運用者などネットワークを利用する側の方にも知っていただきたい話が数多く含まれています。

法林: そういう意味では例年参加している方々だけでなく、新しい参加者層に恵まれることを期待したいですね。では最後に、これらのプログラムを通じて、参加者に何を見抜いてもらいたいかをお聞かせください。

中川: 「IPv6テクニカルtips」については、このプログラムを受講することで、トラブルやインシデントが発生したときに、その原因や根本的な対策を見抜く力を身につけてもらいたいです。「IPv6によるIPv4仮想化のススメ」の方は、IPv4aaSの技術や事例を学ぶことで、これからのネットワークに本当に必要なものは何なのかを見抜くための参考になればと考えています。

法林: ありがとうございました。多くの方に参加していただきたいですね。


T2 IPv6テクニカルtips~安定したネットワークを目指して~ プログラム概要

日時 2016年11月29日(火)09:30~12:00
場所 3F Room3
参加料金 事前 5,500円、当日 8,000円
URL https://internetweek.jp/program/t02/
概要 国内におけるIPv6の普及は急速に進んでおり、2016年9月現在Google社への国内トラフィックのうちIPv6は15%弱を占めるまでになりました。既にIPv6ネットワークには、IPv4ネットワークと同等の運用が求められていると考えられます。本セッションでは、IPv6ネットワークの設計・構築から、運用のフェーズまで、実際に発生した各種課題を取り上げ、トラブルシューティングやセキュリティ対応といった観点から、課題や詳細な対応方法について解説します。
内容 09:30~10:40 IPv6セキュリティ
講演者:
 北口 善明(金沢大学総合メディア基盤センター)
IPv6導入時に注意すべきセキュリティについて、IPv6特有の挙動を学ぶとともに想定される事例や対策等を学びます。

10:50~12:00 IPv6トラブルシューティング
講演者:
 國武 功一(株式会社ブロードバンドタワー コンシューマ事業本部)
IPv6ネットワークやサーバにおいて起こりやすいトラブルの事例や防止策等の紹介や解説を行います。

対象者
  • IPv6対応が必要とわかっているがIPv6対応に躊躇している人
  • IPv6対応したが運用に不安を感じている人

T4 IPv6によるIPv4仮想化のススメ プログラム概要

日時 2016年11月29日(火)13:15~15:45
場所 3F Room3
参加料金 事前 5,500円、当日 8,000円
URL https://internetweek.jp/program/t04/
概要 世界中でIPv4アドレスの在庫不足が進み、IPv6対応が急ピッチで進行しています。多くのネットワーク事業者では、IPv6を導入する際に既設のIPv4ネットワークとの関係を考える必要があります。この際、運用コスト等を低減するために、中核ネットワークをIPv4/IPv6のデュアルスタックとして構築するのでは無く、IPv6 onlyネットワークとして構築しそのネットワーク上でIPv4サービスを提供する、いわゆる”IPv4 as a Service (IPv4aaS)”という形態が提案されており、実際に米国のモバイルキャリアや日本国内のIPv6接続性の提供事業者により商用導入されています。また、スマートフォン上のアプリケーションにおいても、プラットフォーム提供者がIPv6 onlyネットワークでのアプリケーション動作を必須化するといった対応が進んでいます。本セッションでは、IPv4aaSに利用される各種技術を概観し、IPv6 only環境下でのアプリケーション検証ネットワーク構築方法や実サービスでのIPv4aaS導入状況を紹介します。
内容 13:15~14:35 IPv4aaSを実現する技術の紹介
講演者:
 佐原 具幸(株式会社インターネットイニシアティブ )
DS-Lite、MAP-E等IPv4aaS実現技術について、標準化の背景、仕組み等を紹介します。

14:45~15:15 IPv4aaS 技術の導入事例
講演者:
 中川 あきら(日本ネットワークイネイブラー株式会社)
IPv4aaS技術導入の背景となるアメリカを中心としたコンテンツ事業者のIPv6対応の事例や、ネットワーク事業者におけるDS-Lite・MAP-E等のIPv4aaS技術の導入事例・導入した理由などを紹介します。

15:15~15:45 アプリケーションレベルでの IPv4aaS: Apple の IPv6対応、解説と検証
講演者:
 渡辺 露文(富士ソフト株式会社)
Apple社における、IPv6 only環境でのiOSアプリケーション動作必須化についてNAT64/DNS64技術および同技術を用いたアプリケーション動作検証検環境構築方法について解説します。

対象者
  • IPv6の導入を検討しているコンテンツ事業者やネットワーク事業者、他社が導入したIPv6移行技術の詳細や国内外の事業者によるIPv6移行技術導入の動向を知りたい方
  • IPv6導入後のネットワーク 運用コスト等の低減方法を検討している事業者の方

 

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