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APNIC武者修行その3(最終回)

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今年もJPNICブログをご愛読いただき、ありがとうございました。

2019年最後の記事は、12月の約1ヶ月間、APNICでのトレーニングに参加しているJPNIC職員の報告記事第3弾です。3回にわたりトレーニングの様子をご報告してきましたが、今回で最終回となります。


先週の休日はAPNICスタッフとゴールドコーストに行ってきました!中川です。

オーストラリアでは、休日になると家族・友人とパーティーを開いたり、おでかけをしたりと、余暇を充実させることに注力している人が多いようです。日本にいるときよりも「休日何した?」とか「今度の休日は何するの?」といった会話が多い気がします。

前回の記事では主にServiceチームの方から伺ったお話をご紹介しました。先週は、さらにその他のチームの方々にどのような業務を行っているかお話を聞いてきたのでご紹介していきたいと思います。

ミーティングの様子

Businessチーム-料金体系の比較

JPNICとAPNICは同じIPアドレスレジストリではありますが、料金体系や請求・回収の事務手続きは異なっています。今回、Businessチームに属しているFinance担当の方とお話し、双方の違いを改めて確認しました。

JPNICでは、活動にご賛同くださる方々にご支援いただく、JPNIC会員の制度があります。JPNICはJPNIC会員からお納めいただく会費で運営されています。

このJPNIC会員制度とは独立した形で、IPアドレス・AS番号の分配等を行う番号資源の登録管理業務のための料金制度があります。IPアドレス管理指定事業者および、PIアドレス・AS番号の割り当て先からお支払いいただくIPアドレス・AS番号維持料で、番号資源の登録管理業務は運営されています。

一方、APNICでは、アドレスホルダーのことを「Member」と呼んでいます。JPNICのような独立した会員制度はありません(associateと呼ばれる協賛者枠はあります)。この違いのため、海外で「JPNICのMemberはどれくらいいるの?」と聞かれると、混同することがあります。APNICの収入源は、Memberおよび歴史的PIアドレス保有者(Non-member)からの維持料の一本柱となっています。

また、維持料請求方法もJPNICとAPNICで違いがあります。JPNICは約1500の契約組織に対し、4月に一斉に請求を行っています。一方、APNICは現在約7500の契約組織を持っており、それらを一斉に請求を行うことは難しいので、契約組織ごとに契約成立月に請求を行っています。また、多様なメンバーの中には支払遅延が発生するケースも珍しくないようで、利用停止になって慌てて支払いをする組織もあるそうです。そういった組織の救済措置として、停止後3か月以内であれば追加料金を払うことでReactivation(利用再開)できるシステムがあります。母数の違いはありますが、未払いの発生件数は日本よりもかなり多いようです。

個人的に大きな違いに感じたのは、支払方法です。JPNICでは請求書を発行し、銀行振込をお願いしていますが、APNICでは銀行振込の他に、クレジットカード・PayPalの利用が可能です。私自身、銀行振込が当たり前と考えていましたが、さまざまな支払方法に対応することで利便性を高め、未払いを減らそうという姿勢を感じました。

Developmentチーム-トレーニングの提供について

APNICは、サービス地域のメンバー・コミュニティに対してトレーニングの提供を行っています。日本の場合は、JPNIC含めたさまざまな企業・団体がイベントを開催して知識の共有がおこなわれていますが、発展途上国などではまだまだ自力でコミュニティを構築したり、トレーニングの講師を務める人材が確保できない国も存在します。APNICは、こういった地域に対してスタッフを講師として派遣したり、各地のNetwork Operator’s Group (NOG)の実行委員会への参加、リモートでの学習環境の提供などを行っています。また、IPv6ネットワークやRPKIの実装のノウハウがない企業へのハンズオンでのサポートも行っています。2019年はトレーニングだけで約80件を開催・提供してきたそうです。

広いエリアを抱えるAPNICのトレーニングの在り方として、今後は”APNIC Academy”というビデオ講座や、仮想環境を利用して、基礎的な部分に関しては遠隔で、より実践的で高度な技術に関しては現地に赴いて、ハンズオンを行い技術者の育成を行っていきたいと述べられていました。これをJPNICに落とし込んで考えてみると、IPv6セミナー等精力的に地方で活動している分野もありますが、どうしても東京での開催が中心となってしまうイベントもある為、今後の提供方法に関しては検討の余地がまだまだあるのではないかなと認識させられました。APNICとは、トレーニングに関して知識の共有や手法の検討など、積極的な情報交換を続けていきたいと思います。

この他にもCommunicationチームからカンファレンスのコーディネーションについてのお話を聞くことができました。また、External Relationsチームから外部イベントのコーディネーションや、ICANN/IGF等の外部コミュニティとの関係構築・情報分析についてなどたくさんのお話を聞くことができました!なかなかブログだけでは書ききれないので、ご興味のある方はAPNICカンファレンスやJANOGなど色々な場所に参加させていただく予定ですので、ぜひ私を捕まえて聞いてください!喜んでお話しさせていただきます。


約1か月の長いようで短いトレーニングも残すところあとわずかになりました。1つでも多く良い点を持ち帰り、JPNICに、そして関係するみなさまに還元していきたいと思います。

ご覧いただき誠にありがとうございました。


—-余談—-

クリスマスイブは家族や犬を連れて、朝食パーティーが行われました。

サプライズでサンタクロースが登場し、25歳にしてプレゼントをいただきました(笑)

スタッフのみなさんにはよくしていただいたので帰るのが少し寂しいですが、2020年2月にメルボルンで開催されるAPRICOT 2020/APNIC 49カンファレンスで、再会したいと思います。

See you again!!

サンタさん。こどもたちは大喜びでした。

ワンちゃんたちもクリスマス仕様

 


 

JPNICも年内業務は本日まで、2019年12月27日(金) 18:00 ~ 2020年1月6日(月) 10:00は年末年始休業期間となります。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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