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APNIC 51でのIPアドレス・AS番号分配ポリシーに関する提案のご紹介

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2021年2月22日(月)~3月4日(木)の日程で、APNIC 51カンファレンス(以下、APNIC 51)が開催されます。昨年と同じく、APRICOTカンファレンス会期中での開催となります。

APNIC51 Webサイト

本来であれば、今回のAPNIC 51はフィリピン・マニラでの開催を予定しておりましたが、昨年から続く新型コロナウイルス感染症拡大の状況を考慮し、オンラインでの開催に変更となりました。APNICでは、前回のAPNIC50カンファレンスよりオンラインでの開催を行っており、2度目のオンライン開催となります。会議への参加には会期開始までにWebサイトからの参加登録が必要となりますので、お忘れのないよう登録するようにしましょう。

APNICでは、ポリシーSIG (Special Interest Group)において、IPアドレス・AS番号の分配ポリシー(以下、ポリシー)に関する議論を行っています。平時はポリシーSIGのメーリングリストで議論や意見交換を行っています。ポリシーの改定を行うための提案はメーリングリストで議論されますが、年2回開催されるAPNICカンファレンス期間中はface to faceでの議論を行います。場所はオンライン上へと移りましたが、文面だけのやりとりでは難しい、生の声で議論を行い、提案の改善、コンセンサスの形成へ向けたやりとりが行われます。

前回APNIC 50のポリシーSIGでは、以下2点の継続議論中の提案が議論される予定でしたが、提案者がAPNIC管轄地域外に居住し、時差などの問題からオンラインでの参加が困難であるとしたため、今回のAPNIC 51にて議論が行われることとなりました。

  1. prop-130 : Modification of transfer policies(移管ポリシーの修正)
  2. prop-133 : Clarification on Sub-Assignments(再割り当ての定義の明確化)

prop-130「Modification of transfer policies」(移管ポリシーの修正)

組織の合併・買収・継承が行われた際には「移管」としてIPアドレス・AS番号の分配先を変更できることが現行のポリシーでは定められています。本提案では「移管」を行うことができるケースを明確化すること、現在IPv4アドレス、IPv6アドレスおよびAS番号の各項目に分けて定義されている記述内容に差異があるので、それらをそろえることを目的とし、提案されています。

提案による変更後の記述では「移管」の対象となるケースを「組織全体あるいは一部分の合併、買収、継承、組織の再編成や移動」としています。

APNIC 51の開催にあわせて、提案文書の最新版Ver.3が公開されましたが、内容に関する変更は前回議論が行われたAPNIC49の際のVer.2から行われず、重複する文言の削除や文法の修正に留められています。

Ver.3の公開後、APNIC事務局は提案による改訂に伴う影響予測を報告しています。報告によると、RIR間での移転の場合、言語や法体系の違いから、ポリシーとの整合確認が難しい可能性があること、現在のAPNICのシステム上ではIPv6アドレスの逆引き情報を他のRIRと共有することができず、開発の必要性が生じることなどが予測されています。

前回の議論ではポリシー変更によるメリットが参加者に伝わらず、コンセンサスを得ることができなかったので、今回提案者はどのように賛同を得るつもりなのか、注目してみたいと思います。

prop-133「Clarification on Sub-Assignments」(再割り当ての定義の明確化)

prop-124「Clarification on Sub-Assignments」APNIC 48をもって棄却となり、提案番号を変えてAPNIC 49で再提案されたものが本提案です。現在のポリシーでは「割り当てられたIPアドレスは、申請者やエンドユーザが申請した目的のみで使用されるものであり、再割り当てを行うためのものではない」と記述していますが、提案者はこの文言を「割り当てられたIPアドレスは、運用するネットワーク内で排他的に使用されるものである」へ変更しようとしています。

その目的について、提案者は提案文書の最新版Ver.3で例として、大学において学生にアドレスを割り当てる場合を挙げています。インターネットの普及に伴い、ゲストネットワーク構築の必要性が出てきた大学は自身が割り当てを受けたアドレスからゲスト(学生)への割り当てを行います。IPv4アドレスを割り当てる場合、大学は学生にプライベートアドレスを割り当てます。これはポリシー上問題ありません。しかし、IPv6アドレスで同様に割り当てる場合、プライベートアドレスではなく、GUA(Global Unique Address)を割り当てることになります。この際に割り当てるアドレスがゲストネットワーク構築を目的として割り当てられていない場合、ポリシー違反となってしまう説明になっており、違反とならないようにしたいと言っています。

一方でAPNIC 49での議論を鑑みると、現行のポリシーの下で同様のケースに関してAPNICから取り締まりを行われたり、割り当てを受けられなくなるといった事例が存在しないため、現行のポリシーで実運用上の問題がないと捉えている人が多数であるという印象を受けました。結果としてもコンセンサスに至っていないことから、今回IPv6の場合の例を組み入れたことでどこまで共感を得られるか、注目したいと思います。


新型コロナウイルス感染症拡大が始まり、およそ1年が経過しました。APNIC49のオーストラリア・メルボルンから帰国後あっという間に海外渡航規制が敷かれたのを思い出します。このような状況下になってしまった一方で、APNICなどのRIRカンファレンスはオンライン化されたことで、参加への物理的ハードルが大きく下がっています。これまでは海外出張まで組んで参加するのは難しいと感じていた方、存在は知っているもののよくわからない等、さまざまな理由で参加できなかった方にはまさに今がチャンスとなっています。ポリシーに関する議論はもちろん、テクニカルなセッション等さまざまな知識・経験を得られる場だと思いますので奮ってご参加ください。

以下の記事では、初めてのオンライン開催となったAPNIC 50の様子をご紹介しておりますので、参加前にぜひ読んでみてください。