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2020年度IPv6対応状況に関するアンケート結果レポート

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JPNICでは2014年から毎年IPv6の対応状況について、JPNIC会員をはじめ、IPアドレス管理指定事業者とPIアドレス割り当て先組織等に対してアンケート調査を実施しています。

2021年2月10日から3月10日までの1ヶ月間、IPアドレス管理指定事業者(以下、IP指定事業者)と、PIアドレス割り当て先組織、AS番号割り当て先組織(以下、PI/ASホルダ)に、それぞれの組織属性ごとに設問を分けたアンケートを用意して回答を募集したところ、IP指定事業者から88件、PI/ASホルダからは153件、総数として241件の回答をいただきました。それぞれ契約者数の1割以上の方からご回答いただいたことになります。
お忙しい中、ご回答協力いただいた方にはこの場で御礼申し上げます。

本記事では、このアンケートの集計結果を、過去の調査結果やJPNICの登録情報などとの比較や分析とともに報告します。


1. 回答者プロフィール

回答いただいた組織を、JPNIC会員とそれ以外、またIP指定事業者とそれ以外に分類して集計しました。

回答者全体におけるJPNIC会員の方の割合と、それ以外の方の割合を確認すると、JPNIC会員の方からの回答が半数以上を占める結果となりました。
特に、IP指定事業者の回答者のうち、JPNIC会員でもいらっしゃる方の割合は6割以上を占めています。実際のIP指定事業者におけるJPNIC会員の割合が26%程度であるこを考えると、いかにJPNIC会員の皆様がJPNICの活動に興味、関心を持ってご協力いただいているかを実感できます。

回答者の地域別分布については、全体で見ると東京が最も多く、これは契約者全体の傾向と同様ですが、IP指定事業者を見ると、中部地方が最も高い割合となっています。これは実際のIP指定事業者の地域分布(実数割合)とは異なり、東京の占める割合が低下し、中部地方の割合が高くなっています。東京以外の地域から多くのアンケート協力をいただいたことが見て取れます。

IP指定事業者が提供しているサービス種別と、IP指定事業者以外(PI/ASホルダ)の組織種別の結果は以下の通りです。
IP指定事業者ではCATV事業者が、IP指定事業者以外では学校、研究機関が高い割合を占めており、これは例年と同様の傾向となっています。

2. IPv6アドレスの割り振り/割り当てと対応/利用状況

今回はIP指定事業者におけるIPv6アドレスの割り振り、対応状況について確認しております。
アンケート回答者の結果と、実際のIP指定事業者の割り振りの比率がほぼ同様という結果となりました。

同様に、PI/ASホルダにおいて、IPv6アドレスの割り当てを受けている状況についてきいてみたところ、回答者におけるJPNICから直接割り当てを受けているケース、IP指定事業者から割り当てを受けているケースともに、実際のPIアドレスあるいはAS番号の割り当てを受けている契約者よりも、割合として大幅に多いことが確認できました。アンケート自体がIPv6に関するものであることもあり、おそらくIPv6への取り組み意識が高い組織が積極的に回答したことによるものと考えられます。

IP指定事業者におけるIPv6対応状況については、「全部」および「一部」対応完了を合わせると昨年よりも少し増加しているように見えますが、「対応予定なし」という回答も増えています。経年で見ても年度ごとにバラついており、一定のトレンドで推移しているわけではないことが分かります。

PI/ASホルダにおけるIPv6利用状況は、経年で比較したところ今回が一番「利用している」の割合が低くなる結果となってしまいました。

3. IPv4アドレス移転について

IPv4アドレスの移転を行った経験について訊ねています。
PI/ASホルダの多くは、移転をした経験あるいは検討したこともないという結果です。
ただし、移転経験のあるPI/ASホルダを見ると、海外への移転を経験している割合が国内への移転よりも多くなっているのが目立ちます。

IP指定事業者については、移転(譲渡)した経験よりも、移転を受けたことがある割合が多くなっています。これは実際の移転履歴のデータを確認しても見て取れることで、移転を受けたことがあるIP指定事業者は実数として全体の27%程度いて、移転をしたことのある組織はその半数以下(全体の10%程度)となっています。

4. セミナーについて

JPNICが開催している技術セミナーや地域でのIPv6対応セミナーなどについて、受講経験や受講意向を確認しています。

継続的なセミナー開催のおかげで、回答者の4割近くが受講経験があるという結果となりました。

これまで開催したJPNICの技術セミナーは、会場をJPNIC会議室とすることが多く、東京以外の地域の方との機会格差が出てしまうのではという懸念がありました。
しかし、受講経験者(「受講したことがある」という回答者)の地域属性を調べてみると、東京をはじめ特定の地域への偏りがあまりないことが分かりました。2020年度から開催したオンラインセミナーにより、東京以外の地域の方が受講しやすくなった効果が現れているのかもしれません。
今後のセミナー開催は、オンラインと現地開催の両方の特性を活かしながら、東京以外の地域へのリーチもさらに強化していきたいと思います。

5. JPNICからの情報発信について

JPNICからの情報発信に関して、どの媒体を利用しているかの回答結果です。
これまでのアンケートでも、JPNIC Newsletterの利用率が一番高い結果となっていました。今回、回答者の属性別に比較してみたところ、意外にもJPNIC会員以外の方の利用割合が高いことが分かりました。

また、今回から選択肢にTwitterとYouTubeチャンネルも含めてみたところ、利用いただいてる回答が僅かながらもありました。情報発信媒体として、SNSや動画コンテンツをさらに積極的に活用していくようにしたいと思います。

6. インターネットに関する情報収集

最後に、普段ご利用になっている、インターネットの運用技術やセキュリティに関する情報収集元を確認しました。

最も多かったのは「インターネット関連のオンラインメディア」ということで、概ね予想通りでしたが、次に多かったのが「JPNICの情報発信(Web・メールマガジン・Newsletter・ブログ・SNS)」ということで、これは意外な結果だったと思います。
JPNIC会員では6割以上の方が、また会員以外の方でも約半数がJPNICからの情報発信を活用いただいているということで、今後もさらに充実した、お役に立てる情報発信を心がけていく必要があると実感しました。


最後に

今回、アンケートの集計結果とともに関連する実際の統計データとの比較も行ってみて、その違いなども確認してみました。
統計データとアンケート調査データの両方から見えてくるものもあると思いますので、今後もこういった分析を行うようにしていきたいと思います。
また、知りたい情報やデータなど、ご要望やご意見などありましたらお知らせいただければ、今後の情報提供の参考にしたいと思います。
年度末のお忙しい中で、アンケート調査に協力いただきご回答いただきました皆様にあらためて感謝するとともに、引き続きご協力もよろしくお願いいたします。

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